「危ないからダメ」が正解か?三原どろんこ保育園の園庭改良
2015.11.26
第四弾は、ボルダリングのウォールづくり。スタッフも含め、総勢65名が参加しました。三原どろんこ保育園で、昨年度より始まった園庭改良プロジェクト、最新の取り組みをご紹介します。
園庭改良プロジェクトとは
自然との積極的な触れ合いを通じた子どもの発育に力を入れるどろんこ会で、昨年度より始まった保育所(保育園)の園庭を改良する取り組みです。三原どろんこ保育園では、保育士などの職員に加え、保護者のお父さんお母さんも参加。子どもたちの心身の育ちを保護者とともに考え、手作りによる「もっとチャレンジできる環境」の実現を目指しています。
ウォールづくりに立ちはだかる大きな壁
「壁、ちょっと高すぎやしませんか?」
ご家族からも率直な声が聞かれた今回の園庭改良。我が子が遊ぶ場を自分の手でつくることからの責任と、遊びを通じて最高の体験を味あわせてあげたい愛情の狭間で、揺れる親心。みなさん真剣だから、心配なのです。
「子どもはあんがい慎重だから、無茶なんかしないよ」
という声。
「念のため、下にマットかなにかを敷いたほうがいいんじゃない?」
「いや、そうすると逆に無茶をしたがる子もいるでしょう」
立ちはだかる大きな壁を前に、なかなか答えの出ない話し合いが続きます。
「危ないからダメ」が正解か?
どこまでやったら危ないか、してよいことと、したらいけないことを、教えられるのではなく、自ら気づき、危険を避ける。それを学ぶことのないまま育ってしまうことこそ、一番の危険ではないでしょうか。少なくとも、あらゆる危険を排除するのが最善の安全対策なのであれば、保育の現場からすべての自由が失われてしまいます。
だから三原どろんこ保育園の荒川園長自身、このように話します。
「安全と危険は隣り合わせ」
何が危ないのか、どうして危ないのか、それでもなぜやるべきなのか。一つひとつ丁寧に説明し、作業中も保護者さまとコミュニケーションを取りながら、より良くする方法を模索していきます。園の独りよがりではなく、保護者さまの言いなりでもなく。大事なのは、「子どもにどんな環境で育ってほしいか」を本音で語り合い、一緒につくり上げていく姿勢に他なりません。
「ちょっと危ない、だけど気をつければ大丈夫」
子どもたちはこの感覚を得て、理屈を知り、生きるために必要な力が育まれるのです。危険の排除よりも、体験の機会が大切であると、あらためて気づくことができた今回の園庭改良。子どもたちはもちろん、大人たちにもたくさんの発見があった一日でした。