食育とは何か?を本気で考える「どろんこレシピプロジェクト」
2017.09.21
どろんこ会では、子どもの意欲やにんげん力を育む上で、毎日の食事はとても大切な要素だと考えています。現在、園の垣根を越えて有志が集まり、「毎日子どもたちが食べる給食の献立を考える」という企画が進んでいます。その名も「どろんこレシピプロジェクト」。今回は、食育に奮闘する現場スタッフの取り組みについてご紹介します。
「どろんこレシピプロジェクト」とは
昨年の10月、「食育とは何か?」を考え、意見交換することから始まりました。“食べたいときに一番おいしい状態で食べる”、“種を蒔き、育て、収穫し、調理も体験することで、命や作ってくれる人への感謝の気持ちを育む”、“旬や日本の伝統的な食事を大切にする”、“五感で味わう”、“おなかも心も満たす”など、スタッフ一人ひとりが改めて自分たちの言葉で定義するに至るまで、約半年。会議では、毎度熱い想いが飛び交いました。
目指すゴールは、この食育理念をふまえ考えられた給食献立を来年の4月から園で提供すること。そして、食育理念・園での活動・レシピを一冊の本にまとめ、保育業界に展開すること。これが、どろんこレシピプロジェクトの活動です。
プロジェクトメンバーは、現場のスタッフ
どろんこレシピのプロジェクトメンバーは、有志で集まった現場のスタッフです。「どろんこレシピを作りませんか?」という問いかけに対し、各園の保育士・調理師・栄養士が自主的に手を上げ、スタートしました。
参加の理由はさまざまですが、子どもの成長に強い関心があることはもちろん、自分自身にとっても成長の機会であると捉えているメンバーが多いようで、月に1度のプロジェクトミーティングはいつも全員出席。園での業務終了後に、どんなに遠方でも必ず集まるメンバーのモチベーションの高さには脱帽です。
現在はカメラ班、コラム班、レシピ班の3つのグループに分かれ、活動しています。
カメラ班「子どものあふれる笑顔の瞬間を一冊に綴りたい」
今年3月から毎月、園での食事の風景や農作業体験の様子などをプロのカメラマンに撮っていただいています。その枚数は毎月約200枚!その中から、どろんこレシピの本に掲載したい、多くの人に見ていただきたい写真を選ぶのがカメラ班の活動です。
コラム班「コラムの枠を超える、ありのままの子ども達の様子を伝えたい」
どろんこ会の食に対する考え方、取り組みを伝えるコラムを作成するのが、コラム班の活動です。ただ単に取り組みだけを紹介するのではなく、日々の子ども達の姿から感じ取ったものも、コラムのテーマとしています。保育に従事する方たちの参考となるような、より現場や日々の保育に即した内容となるよう考えています。
レシピ班「いつも子どもと一緒に食べるからこそ、作れるレシピがあります」
どろんこ会の理念に則り、一年の献立を考えていくのがレシピ班の活動です。栄養バランスはもちろん、子どもにとっての食べやすさや食べたい気持ちも大切にして考えています。基本的には日本食中心で、野菜や海の幸など、四季が感じられる食材・料理をできるだけ取り入れ、旬を感じられる献立を意識しています。
子どもに必要な食について、もっと知ってほしい
子どもを取り巻く環境は昔と大きく変わっています。食に関してだけを取り上げても、孤食や十分な食事が与えられていないなどの問題があります。今の子どもに必要な食事のあり方とは? 小学校に入学するまでの大切なこの時期に子どもに経験してほしい食事とは? どろんこ会の毎日の給食には、そのひとつの答えがあります。
たとえば、子どもの「食べたい気持ち」を育てること。そのために、3歳児からは子どもの自主性を重視して、自分にあった食事ができるように昼食時間に幅を持たせ、その時間内でおなかが空いたら自分が食べたいものを食べたい量だけ取れる、バイキングスタイルを採用しています。
それから、味付けにもこだわりがあります。給食は、どの料理の味付けもとてもシンプル。出汁をきかせ、塩は必要最低限の量を使い、旬の素材の味を生かした日本食が中心です。そんなシンプルな食事により、子どもたちの味覚は研ぎ澄まされていきます。もともと人には傷んだ食物を体内に入れないよう、酸っぱい物、苦い物に反応し、舌で危険を察知する力があります。そんな本来備わっているはずの身体を守る力が、ジャンクフードに慣れてしまうと鈍ってきます。どろんこ会では、毎日の食事を通して、身を守る力を養ってほしいと考えています。
また、日本の伝統的な食習慣を知り、伝統文化を継承するということがあります。どろんこ会では毎月、行事食を献立に取り入れることで、食事はただ食べるだけでなく、伝統を学び楽しむものだということを教えています。おせち料理やひなまつり、七夕などの行事食はもちろん、入園の祝い膳や、伝統行事の少ない6月には虫歯予防デーの献立、10月には粗食の献立なども企画し、いろんな食事を体験させることを心がけています。
これらの取り組みは、職員一人一人が理解していてこそ実現できること。どろんこ会の園だけでなく、他の保育園で働く保育士・調理師・栄養士へ、子どもたちにとって真に必要な食育とは何か?を考えるきっかけとなるような一冊を作るべく、プロジェクトメンバー全員で試行錯誤しています。
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