【職員座談会】『自分ができる保育の姿』に向き合った一年を振り返る
2018.03.22
「メリー★ポピンズ アトレ大森ルーム」は、駅ビルの中の都会の保育園。今から約1年前の4月には、ベテラン職員の異動や新人職員の迎え入れなど、スタッフの大きな入れ替えがありました。ここで働く人にとって「激動の年」だった今年度を座談会形式で振り返ります。
真島園長 この1年は園にとって、変化の多い激動の年だったと思うのですが、中でもその変化を最も強く実感したのが、佐々木さんだったんじゃないかなと思います。まず、佐々木さんから、この1年を振り返ってもらえますか。
佐々木 昨年度までは同期とチームを組んでいたので、「あうんの呼吸」で動いていたんですね。ところがその同期が転勤になって、新人の山口さんと他の園からやって来た石田さんと組むことになって、それはかなりの変化でしたね。
園長 そんな中で、どうやってチームワークを形成していったんですか?
佐々木 山口さんに対しては、言葉で説明するのではなく、私自身が子どもと向き合う姿を見せていこうと考えました。そこから山口さんなりに感じ取ったものを、保育に活かしてくれたら、と。
園長 その姿を見て山口さんはどう感じていましたか?そもそも山口さんは、昨年仙台の大学を卒業して、一人で上京してきて、人生そのものの「大きな変化の年」でしたよね。
山口 そうですね。やっぱり東京には友だちがいないので寂しいなと感じることも多かったし、仕事も初めてのことばかりで、無我夢中でやって来た一年でした。そもそも僕はどろんこ会の理念、子どもの自主性を尊重するという理念に共感してここに就職を決めたんですね。でも、実際に中に入ってみると、この理念は子どもたちだけに向けたものではなかったんだなと分かりました。
佐々木さんにしろ、園長にしろ、言葉で指導するのではなく、自分の保育を見せてくれる。よし、じゃあ僕も、と「これやってみようよ!」と、子どもたちの前で自分から率先して、遊びなり片づけなりを始めると、わっと子どもたちがついて来てくれるんですよね。自分が楽しんで接していると、それが子どもに伝わっていく。そういうことが積み重なって、1年前よりは、自信を持って子どもたちに向き合えるようになったと思っています。
佐々木 山口さんが「○○くん、こんなこと言うんですよね」「○○ちゃん、今日こんなことできたんですよ」と楽しそうに報告してくれるようになって、それが私は本当に嬉しかったですね。
園長 なるほど。一方で、石田さんにとってはどんな1年でしたか?
石田 僕はもう、ここへ来た当初は悩んでばかりいました。僕はある程度経験を積んだ中堅保育士ですが、佐々木さんという、大森のことをよく分かっている、やっぱり中堅の保育士がいて、新人の山口さんがいて、じゃあ、チームの中で自分はどういう位置を取っていけばいいのか、本当に分からなかった。毎日毎日「中途半端だな、俺」と苦しかったですね。
園長 佐々木さんとも、ときどき二人で話し合いをしていましたよね。
石田 はい。そういう中で、他の園の職員の方々とも話してみようと思ったんです。いろいろな方に意見を聞きに行って…。その中で、「後ろから支える人もリーダーなんだよ」と言ってくれた職員がいて、ああ、そうなのか、と。
山口さんを中心に、思う存分前に出てもらって、子どもたちを引っ張っていってもらう。だけどその時、必ず、三人、四人、その流れについていけない子も出てきますよね。僕はその子たちを拾うようにする。そうやって支えていく動きがあるんじゃないかと思ったんです。
園長 夏頃からかな、石田さんの保育が変わったなと私もはっきりと分かりました。それがとても嬉しかったのですが、裏側にはそんな葛藤があったんですね。
もう一人、鈴木さんも、昨年、中途でどろんこ会グループに入社しましたが、これまでを振り返ってみて、どうですか?
鈴木 私の場合は皆さんよりちょっと世代が上なので、若い方々とうまくやっていけるかな、ということが不安ではありました。でも、ここではベテランも若手も関係なく、みんなでどんどん意見を出し合って、一緒に考えていく。そういう進め方が、だんだんと楽しくなってきましたね。
園長 確かに、都会のビルの中のこの園は、みんなで意見を出し合って運営していかざるを得ない環境だから‥‥
大場 そうなんですよね。私の場合も4月に新人でどろんこ会に入社して、もう「子どもたちと泥だらけになって遊びまくるぞー」と思って配属されたのに、あれ?園庭がない(笑)。
園長 ヤギもいないし(笑)
大場 はい。戸惑うことも多かったのですが、でも、たとえばプールがなくても、ここではみんなで話し合って、「じゃあ、アトレと交渉して、屋上を使わせてもらったらどうだろう」となりますよね。その結果、子どもたちにとっては「屋上でのプール遊び」という特別な体験がすごく待ち遠しいものになっていて。
保育士も調理師も、ベテランも私のような新人も、みんなで意見を出し合って、地域の方々と交渉して、制約を逆に活かす。1年で、私も、こういう「自分で考える保育」が楽しいな、と思うようになりました。
鈴木 そうなんですよね。この環境にいることで、私自身の子どもへの接し方も変わってきたなと感じます。以前よりもずっと、子どもたちを待てるようになったと思います。
子どもって、大人が介入し過ぎないことで、すごくオリジナルな解決策を考え出すことがありますよね。たとえば、おもちゃを誰が使う・使わないでもめていても、「じゃあ、○○くんがこうしてくれたら、今日もこのおもちゃを使ってもいいよ」なんて話し合っていて、そんな時、ああ、今、私、出て行かなくて良かったな、と思います。
神永 私も調理職員として4月からここへ来て、すごく新鮮でした。先生方から「肉はもう少し柔らかい方が子どもたちは食べやすいんじゃないかな」「今日のシチューはおいしかったよ」とダイレクトに意見が届くし、調理体験についても、「子どもたちが畑で作った野菜を入れて、ピザ作りをしたらどうかな」「クリスマスケーキは、カップケーキとパウンドケーキ、それぞれ作ってみたい子がいるから、両方やってほしい」とリクエストが来たりして。それがたまに、かなり難易度が高かったりもするのですが……(笑)
大場 そう言えば、私も、お月見団子を提案しました!
神永 そうでしたよね。でも、こうやってアイデアをもらえることが嬉しいんです。そもそも給食の時間も、ここでは毎食、私たち調理職員も子どもたちと一緒に食べますよね。だから、何がおいしくて何が食べにくいのか、反応がダイレクトに分かる。調理室という隔離された空間で、知識だけで献立を組み立てるのではなく、現場の生の反応を取り入れて調理するというスタイルを、今、楽しんでいます。
園長 こうやってみんなの話を聞いていると、新しいことだらけの中で、一人ひとりが自分で考えて、意見をぶつけ合って、前に進んできてくれたんだな、と。そう思うと嬉しくて涙が出そうです…。
先日発表があった通り、私は、4月から、郡山に新しく開園するどろんこ保育園に転勤になります。でも、皆さんにはこれからもこの大森の文化、「自分の頭で考える保育」、「みんなで分かち合って問題を解決していく保育」を続けていってほしいです。別れはとても寂しいけれど、郡山から、みんなを応援していますね!
ここでなら実現できる!そんな環境があります。
どろんこ会は、あなたの「やってみたい!」を応援します。
新卒・中途問わず、想いのある方からの応募をお待ちしています!