【教えて園長先生!】Vol.5 保育園にかけた第二の人生。 校長から園長へ~小学校教育のプロが語る「未就学時期に大切なこと」
2018.04.19
2016年に開園した「メリー★ポピンズ志木駅前ルーム」の星場泰彦園長は“小学校出身”。長年、志木市で小学校教員、そして校長を務め、地元の人に広く慕われていました。そんな先生を「ぜひ園長に」とスカウト。迷いながらも再び教育の現場へ戻ると決めた当時の心境と、校長まで勤めあげた小学校教育のプロの視点から「未就学期からの原体験の大切さ」について聞きました。
地域の子どもたちの成長を見守る力になりたい
――園長就任にあたり、かなり迷われたそうですね。
大学を卒業してから40年近く教師、そして校長を務めました。それはつまり“子どもたちの命を預かる”ことですよね。ようやくそのプレッシャーから解放されたのに再び現場に戻るのには、やはり相当なエネルギーが必要でした。お話を受けようか、辞退しようか、悩みに悩んだ2週間をすごし、それでも決心したのは、愛する志木で、保育園が足りず困っている親御さんが大勢いらっしゃること、その力になりたいと思ったからです。
――保育の現場に飛び込まれ、小学校教育との違いを感じることはありますか?
小学校6年間は、人生で最も多くのことを吸収し、最も変化する時期、ずっとそう思ってきました。が、まだ言葉も話せない0歳からの未就学時期はそれ以上に変化が大きいと保育の現場に飛び込んでみて実感しています。だからこそ、この時期をどう過ごすかが大変重要だ、と。
実は、園長を引き受けた理由はもう一つあって、それは、どろんこ会グループの「自然の中で思う存分遊ぶ」という理念に共感したからなんです。小学校は、やはり勉強の場。先生には「いつまでにこれを教えなければいけない」という到達目標があり、自然に触れる時間を作ることまではなかなか難しい。だからこそ、その経験を未就学時期に積んでおくべきだと思っています。勉強は小学校からで十分間に合いますから。
――でも、志木駅前ルームには園庭がありませんね。どうやって自然に触れ合う機会を作るのですか?
やりようはいくらでもありますよ。たとえば、毎日の散歩の時間。志木駅前ルームでは草がいっぱい生えている公園や川べりの土手に出かけますが、子どもたちはどんどん虫採りが上手くなっています。僕も初めて見たのですが、20cmもある大きなバッタや、かぶと虫をつかまえた子もいるくらい。そして、つかまえた虫をみんなで育て、観察することにしています。
すごいなと思うのは、一昨年の秋は途中で虫が死んでしまったのに、去年の夏は、自然に返すところまで育てられたこと。どんな餌をあげたらいいのか、子どもたちが図鑑などで調べ、餌を探し、飼育環境を「自然に近い状態」で整備したからなんですね。こうやって、子どもたちは日々成長していきます。教科書で単に知識として虫の生態を覚える以外に、このような生きた経験を蓄えられることを目指しています。
――そんな先生は、子どもたちに「おじいちゃん」と呼ばれているとか‥
はい(笑)。まだ少ししか言葉を知らない1歳、2歳の子にとっては、白髪の僕はまさに「おじいちゃん」。初めての集団生活に、慣れない環境の子どもたちも家庭の延長と思ってもらえれば安心するでしょう?わあわあ泣いていても、僕が抱っこすると泣き止む子も多いんですよ。
園内で過ごすときも外遊びも元気いっぱい!メリー★ポピンズ志木駅前ルームの毎日
大切なのは、自ら創意工夫すること
僕は、園長だからと言って、先生たちにこうしなさい、ああしなさいとは言わないようにしています。年長者から言われたら若い先生はその通りに動こうとして、次第に自分の頭で考えなくなってしまいますから。大切なのは、自ら創意工夫すること。先ほどお話したように、たとえば園庭がなくたって自然遊びは工夫できるのですから。
そして、もう一つ大切なのは、人生の基礎となるこの時期に、子どもたちが「大人たちに愛されている」という実感を得ることではないでしょうか。家族からの愛はもちろん、それ以外に、「ここに来れば、自分を愛してくれる大人がいる」と感じる場所があること。それはつまり、地域全体で子どもを育てるということですね。志木駅前ルームをそんな地域の拠点の一つに育て上げていくことが、僕の大きな目標です。
ここでなら実現できる!そんな環境があります。
どろんこ会グループは、あなたの「やってみたい!」を応援します。
新卒・中途問わず、想いのある方からの応募をお待ちしています!