多様な働き方支援 セブン-イレブンとタッグを組む保育園-後編
2018.12.13
セブン-イレブン・ジャパン様の企業主導型保育所として2017年10月に開園した、大田区池上の「セブンなないろ保育園」。同園インタビュー記事の後編では、上海園長に保育園の普段の様子、園長として心がけていること、そして園庭のない保育園でどうやってどろんこ会グループらしさ=「にんげん力を育む保育」を実践しているか、などを伺いました。
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小規模園でも工夫次第で保育の質は高められる
―― 上海園長のこれまでの経歴を教えてください。
幼稚園教諭を3年、その後どろんこ会の保育士として7年働いていましたので、保育歴は10年ほどです。
―― こちらの園はどんな方が利用されていますか?
現在(取材時:平成30年11月時点)定員の約半数の園児が在籍しています。階下のセブン-イレブンや近隣の企業でお仕事をされている方、それから近隣にお住まいの方がそれぞれ半数ほど利用されています。待機児童の多い世田谷エリアや都外の川崎エリアから通われている方もいます。職員は私を含め7名。長年保育経験のあるベテランから、ブランクのある方など、様々です。
―― 園庭のない小さな園として、何か工夫していることはありますか?
以前勤めていたような規模の大きいどろんこ保育園と違って園庭はありませんが、近くに公園がたくさんあるんです。可能な日は午前と午後の2回お散歩に行ったり、商店街ツアーやちょっと頑張って多摩川の方まで遊びに行ったりもします。遠くの公園まで歩いてお花見ピクニックをするなど、毎月遠足を企画して四季を感じる機会を多く作っていますね。どろんこ会ならではの畑仕事も、室内にプランターを置いて取り入れています。プランターではチューリップやトマトなど季節の野菜や植物を育てているんですよ。
―― 保育ルームに入って、まず目に飛び込むのがこの大きな窓ですね。とても解放感があります。
光が降り注ぐ大きな全面ガラス張りの窓は、スタッフも子どもたちも大好きな場所です。見学に来られた保護者の方にも「明るいですね」「清潔感があってよいですね」と、好評なんですよ。窓から外の様子を感じることができますし、先日ある2歳の子が「ここを水族館にしたい!」と言ったので、みんなで魚の絵を貼ったりして、今は窓一面を水族館に見立てています。そういった子どもながらの発想も大事にしてあげたいですよね。
―― その他、こちらの保育園ならではの特色はありますか?
ここでは他のどろんこ会グループの園と同じように、担任を設けずに異年齢保育を行い、スタッフ全員で子どもたちを保育しています。そのため、園全体がひとつの家族のような、アットホームな雰囲気となっています。活動によっては子どもの年齢でグループ分けをすることもありますが、基本はお散歩も遊びも全員一緒です。1歳半の子が0歳の子のお世話をしている姿は、見ていてとても微笑ましいですね。一人っ子の園児にとっても、兄弟体験の場となっているんだと思います。
―― 職員同士のコミュニケーションで気をつけていることはありますか?7名の職員は20代~60代まで幅広い世代が働いています。皆それぞれ保育に対する想いや考えを持っていますが、園として方針を定めるときは、園長である私がぶれてはダメだと思っています。そのため、月1回の園会議の中に、「保育所保育指針」も活用しながらどろんこ会が大切にしている保育についてディスカッションしたり、意見の共有をしたりする機会を設けています。また、チームワークを大事にしていますので、職員間のやりとりでも常に中立的な立場を園長として意識し、いつでも「子ども」を一番に考えていけるプロ集団でありたいと思っています。
お散歩も食事も子どもたちの自主性を尊重したい
―― 上海園長が心がけている保育とはどんなことでしょう?
お散歩も給食もこちらから「〇〇しよう!」と指示をするのではなく、お散歩に行きたくなるような道具や写真を見せたりして「子どものペース」で行うことを大事にしています。あとは、0~2歳と低年齢児の保育園なので、職員が「大きな声を出さないこと」も心がけています。そうすることで安心感が生まれ落ち着いて過ごせると考えています。他にも、突然抱っこしない、名前を呼び捨てにしない、など、接し方や呼び方に注意をして、子どもの人権を尊重するような関わり方を職員に徹底しています。「自分で考えられる人」、大人になったときも「生きるって楽しいと感じられる人」に育ってもらえるのが理想ですね。
―― こちらの園はセブン-イレブン・ジャパン様の企業主導型保育所ですが、園長からみて他のどろんこ会グループの保育園と何か違う点はありますか?
園の規模や成りたちは確かに違いますが、私たちが行っている保育そのものに違いはないです。おおまかな園の運営はお任せいただいてますし、やりにくさも感じません。むしろ、やりたい保育を後押しをしてくださるのでとてもありがたいです。月に一度の定例ミーティングでは、細かなことも相談に乗っていただいています。
私たちも休憩時間に下のセブン-イレブンを利用するのですが、そこで園児のお母様が働いていたりすると「今日はこんな様子ですよ」などとお知らせすることもあります。いざというときに保護者の方が近くにいるのは、小さい子にとってはとても安心感があると思いますね。
―― これからの抱負がありましたらお願いします。開園して1年なのでまだまだやりたいことはたくさんあります。保育にゴールはありません。日々子どもたちの最善の利益を考えて、職員一丸となって保育の質の向上を目指していきたいですね。
関連リンク
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