子どもの意欲を引き出す園庭を。保護者も参加する遊具づくり

2019.04.25

#保育

新座どろんこ保育園

職員や保護者が、子どもたちが主体的に遊べる環境を園庭に整備する「園庭改良プロジェクト」。新座どろんこ保育園(埼玉県新座市)では、2年前から計画を開始し、2018年度から遊具づくりに取り組み始めました。今回は、櫓(やぐら)と渡橋の設置作業の様子をお伝えします。

子どもの意欲を育む櫓・渡橋を作ろう!

新座どろんこ保育園の園庭には、これまでの園庭改良プロジェクトで作ってきた遊び場が点在しています。今回制作に取り組んだのは、以前設置したツリーハウスから向かい側の木までを繋ぐ櫓と渡橋です。

左手前は18年度卒園生が集めた木を使って作った小屋
左手前は18年度卒園生が集めた木を使って作った小屋
中央奥がツリーハウス
中央奥に見えるのがツリーハウス。ここに櫓と渡橋を連結させる
園庭のすみには、すでに今回設置する櫓が組まれた状態でスタンバイ。
下準備された櫓

しっかり設置するために、埋め込み用の穴を掘ります。当日を迎えるまでにも、馬場園長はじめ職員が1日数時間ずつ準備を進めてきたのだそうです。

穴掘りを手伝う子どもたち
登園していた子どもたちも穴掘りを手伝う
穴掘り専用器具で作業する保護者
穴掘り専用器具で作業する保護者。器具は想像以上に重たいそう
掘った穴の深さ・水平を確認
掘った穴の深さ・水平を確認

櫓の設置穴の準備ができたところで、協力して櫓を穴まで運びます。大人が5人以上いても重い櫓は、持ち上げるだけでも重労働。慎重に少しずつ運び、各穴に設置しました。

ひもを引っ張って子どもも協力
ひもを引っ張っる作業は子どもたちも協力
櫓設置中
馬場園長が位置を確かめながら設置
設置後には歓声があがり、ほっと一息
設置後には歓声があがり、ほっと一息
セメントで固定する
穴に石と砂利を入れ、さらにセメントでしっかり固定

この日は櫓を設置し、渡橋の穴掘りを行なったところで作業は一段落。完成は次週以降に持ち越すことになりました。

曇天のなか、途中で小雨がぱらつく時もあったこの日。肌寒さにも負けず、保護者や子どもたちも参加して行なわれた園庭改良プロジェクト。保護者の方はもちろん、一緒に訪れた子どもも、できる範囲の作業に積極的に関わっている姿が印象的でした。

今回参加されたあるお母さま曰く、「毎回子ども自身が作業に参加するのを楽しみにしているんです」とのこと。作ったあとは、誇らしげに「僕が作ったんだよ!」と友達に報告するのが恒例になっているのだそうです。

そしてこちらが完成した櫓と渡橋。子どもたちは、さっそく体をめいっぱい動かして遊んでいるようです。

完成した櫓と渡橋
渡橋で遊ぶ子どもたち

子どもの創造力を豊かにするには、「主体的に遊べる環境」が大切

馬場園長
次に何を作ろうか考えるのが楽しみと語る馬場園長

新座どろんこ保育園で園庭改良プロジェクトの計画を始めたのは、馬場園長が着任した2年前のこと。園庭で子どもたちが遊ぶ様子を観察しながら、どういったものをプラスすれば子どもの遊びの幅が広がるのかを考え続けています。

「モットーである『子どもの意欲を引き出し、主体性を育てる保育』 を実現できる遊び場所を提供したい」と語る馬場園長。作ってきたものは、それ単体で遊ぶだけではなく、子どものアイディア次第で連動させて遊べるものが特徴です。

週に1回行なうリーダー会議のうち、月に1~2回は園庭に関することについて話し合うことに決めているのだそうです。職員のなかから出てきた「こういったものがあれば」というアイディアを、用務の石川さんが設計図にして具現化。今回制作した櫓や渡橋も石川さんが設計図を作成しました。石川さんは、アート分野で百貨店や国際フォーラムの展示、イベント企画に携わってきたキャリアの持ち主で、「経験を保育園の遊具・道具作成に活かしたい」とどろんこ会グループに入職。今は保育に必要な環境を学びながら、こうした園庭改良プロジェクトを支えています。

設計図
石川さんが書いた設計図
石川さん
職員のアイディアを形にする用務の石川さん

園庭改良プロジェクトに参加した保護者からは、「遊具づくりに関われたのが嬉しい」といった声が寄せられています。園庭改良作業中は保護者の方と話すいい機会でもあり、新座どろんこ保育園の子どもたちが今どういった遊びに夢中になっているのか、どういった想いで遊具づくりに至ったのかを直接伝えられるのも、馬場園長が感じているプロジェクトの良さです。

大人と子どもの相乗効果で進化する園庭

作業する子ども

様々な年齢の子どもに合う遊具を作ってきた新座どろんこ保育園。新しいものを作るたび、遊具と遊具を連動させて遊びを発展させる子どもたちに、制作意欲をかき立てられています。

「子どもの創造力に応えられる環境を作るために、私たち職員や保護者が遊具を作る。それにまた子どもたちが新たな遊びで返してくれる。いい相乗効果を生んでいると感じています」と馬場園長。

今回の櫓・渡橋を完成させたあとも、まだまだアイディアを形にしていきたいと語ります。参加した保護者からも、「どんどん園庭が素敵になる」という感想が聞かれました。

新年度、新たな遊具で子どもたちがどのような遊びを見せてくれるのかが楽しみです。

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