「思いやり・安心・笑顔」。どろんこ会が目指す接遇力を考える
2019.05.23
ホテルやキャビンアテンダントなど、顧客と直接接する現場で求められている「接遇」。相手が気持ちよく過ごせるよう、心配りのある対応力を指す言葉です。似た言葉である「接客」よりもワンランク上のスキルと言われています。
最近では病院、福祉、保育などの現場でも見直されるようになり、特に長期的に関係性を築く現場では、より相手をおもんばかった接遇力が求められています。保育園では接するのは子どもだけでなく、保護者、地域住民、自治体関係者など、大人との関わりが多いにもかかわらず、保育者のなかには大人への対応を課題と捉えている人もいます。
東京都が行なった実態調査でも、保護者対応・職員間のやり取りを大変だと感じている保育士がそれぞれ4割以上いることがわかっています。一方で、保護者・職員間のコミュニケーションを重要視しているという回答は8割を超えているのです。
(出展:東京都保育士実態調査 結果の概要<中間のまとめ> )
これは、一般企業と比べ、保育の現場ではビジネスマナーなどを学ぶ機会が不足していることが主な理由です。どろんこ会グループでも、コミュニケーションの質を向上させたい、マナーを守れているのか不安だという声が各地から上がっていました。その声を受け、現場の困りごとの解決に力を入れたい、と新年度が始まったばかりの4月に接遇研修を開催しました。
接遇研修は岩切どろんこ保育園(宮城県仙台市)を皮切りに、各地で3回開催されました。今回は2019年4月23日に東京 渋谷の本社で行なわれた研修の様子をレポートします。
現場で活かせる独自のプログラム
今回の講師は、普段から接遇力が高いと評判の人事採用部の川村さんが指名されました。川村さん自身、応募者に一番初めに法人の魅力を伝える立場として接遇力の大切さを感じていた一人でもありました。
川村さんは、前職で新人社員のビジネスマナー研修や接客、コールセンターのオペレーターの育成などの経験を重ね、接遇力を磨いてきた経歴の持ち主です。依頼を受け、川村さんは、保育の現場で本当に必要とされるものは、お辞儀の角度などではなく、意識や心のあり方、そして「おもてなしの心を伝えるための表現方法」だと考えました。
そこで、現場で活かせる独自プログラムを作成しました。ニーズに即したプログラムを作るため、川村さんは様々なスタッフへのヒアリングを実施 。知識をただ頭に入れるのではなく、実感を得られるよう、実例・実演をふんだんに盛り込む工夫も凝らしました。一般的な接遇研修の枠に囚われず、NLPや心理学、マーケティングなどの専門的な内容をも網羅したうえで、明日から実践したくなるプログラムが作られました。
「現場で活かせる接遇」を考える
研修では、まず保育施設でなぜ接遇が求められるのか、接遇とはそもそもどういうものなのかを学ぶところからスタートしました。何よりも、私たちが接しているのは「誰か」ということ、そして相手から何を求められているのか、を掘り下げていきました。
接遇の意味、大切さを認識したうえで、相手から好感を抱かれるために必要なこと、すぐに実践できる第一印象の向上方法を考えていきます。知識から実践に入ることで、接遇による効果の体感を重視するのです。
これまでに196人が参加。遠隔地からのオンライン参加者も
3日の研修では渋谷にある本社会場に来られなかった職員のオンライン参加もありました。スクリーン越しに見えた郡山、福岡、沖縄など、遠隔地の職員たちの真剣な表情からも前向きな姿勢を感じたという川村さん。どろんこ会の職員は、保育の質の向上のため、学ぶ意欲が高く、子どもに寄り添う力、誰かの役に立ちたいという気持ちが人一倍強いと感じているのだそうです。
「自園に持ち帰って全体で接遇力を向上させたい」参加者の声
研修終了後に寄せられたアンケートには、役立ったという声がたくさん寄せられました。
「親切さはどのように表現するのかという言葉が印象的でした。また、一番身近な保護者さまとの対応について、普段から気をつけているつもりでいましたが、再度保護者さまの立場に立って考えなければいけないと思いました。何気ない一言が相手を傷つけてしまうこともあることや、逆にその一言で救われることもあること、言葉の難しさ、抑揚の違いで感じ方が違ってしまうことなど、多くのことを学ばせていただきました。園内の会議でも周知し、職員全員が保育士のプロとして対応していけるようにしたいと思います。」
「やっているつもり、出来ているつもりになっていることを見直す機会となりました。
意識を少し変えることで所作が美しくなり、電話対応が温かく感じられることを実践していただき、感動しました。園内での共有を行い、改善に努めます。 また、保護者さまの気持ちになっているつもりが、こちらの都合を優先する発言になってしまっていないかを伝えていかなければならないと、改めて感じました。園内研修などで掘り下げていきたいと思います」
「声のトーンや抑揚をつけた話し方など、とても勉強になりました。笑顔で丁寧にと自分自身思って接していたつもりですが、保育の忙しさから単調になったり事務的になってしまう場面もあったりするので、意識的に話し方も考え接していこうと思いました」
電話で話す際には抑揚を意識すること、何かを伝えるときには相手の立場に寄り添った一言から始めることなど、実演から接遇力の大切さを実感した参加者が多かったようです。
「思いやり・安心・笑顔」を大切にした接遇力を磨いていく
講座の最後には、どろんこ会グループらしい接遇とは何かについてディスカッションする時間が設けられました。
参加者が考案したキャッチコピーは「思いやり・安心・笑顔」。川村さんは、この「安心」について、どう表せば相手に安心が伝わるのかを考えていくことこそが接遇力を磨くことにつながると語ります。
接遇力を高めることは、保護者・地域住民・職員間との関係性向上につながり、巡り巡って居心地の良い職場環境の構築や保育の質向上にもつながります。これからも日々の取組みの中でこの講座の学びを生かし、どろんこ会グループ全体の接遇力をより一層高めていきます。
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