子どもの命をみんなで守る。保護者・地域の方と学んだ救命講習
2019.07.11
子どもの命を預かる保育士は、救命技術を身につけておくことが望ましいとされています。しかし、学生時代に十分な救命講習を受けられなかったり、社会人になってから保育士資格をとったりなど、必ずしも全ての保育士が「乳幼児の救命知識と技術」を身につけて保育業界で働き始めているとは限りません。
そのためどろんこ会グループでは、職員が救命知識と技術を身につけられるよう、各園で定期的に救命講習を行っています。
2018年度からは、その救命講習に保護者や地域の方にも参加していただける取り組みを始めました。今回は、2019年5月25日(土)に越谷どろんこ保育園(埼玉県越谷市)で行われた救命講習の様子をお伝えします。
当日の様子
今回の参加者は職員を含め10人。うち3人が保護者でした。
まずはじめに、消防職員がいざというときの救命措置の重要性を説明します。その後、動画で実際に起こりうるシーンを見て、救命技術を身につけておく必要性を実感しました。
今回の救命講習で学ぶのは、「心肺蘇生法」「AEDの使用法」「誤飲時の対応」「止血方法」です。
心肺蘇生やAEDの処置は、幼児・乳児のモデルを使用して実践します。これまで、市のイベントなどで体験したことがあるという参加者も、乳幼児のモデルで行ったことはなかったと話してくれました。
発見時から処置をするまで、一通りの流れを確認し、順に実践していきます。途中途中で、消防職員が「今、周囲には車の行き交いがあります」「その子は血を吐いてしまっています」「水に濡れています」と様々な状況がイメージできる声掛けを行い、講習が単調にならないようにしていました。
参加者は、その都度「じゃあどうすればいいんだろう」と考えながらケースバイケースで対応法を検討します。講習の場がそのまま実際の場になるわけではありません。そのときの状況に応じて対応する大切さを実感できる講習となりました。
参加者からの感想
今回参加した保護者の方に、救命技術を学んでみた感想をお聞きしました。
「これまで、大人や子どもの救命講習は受けたことがあったのですが、今回赤ちゃんの救命講習は初めて体験しました。非常に役立つ体験だったと思います。」
「いざというときに本当に対応できるのか、少し不安があります。消防署員さんがシチュエーションを変えるたびに対応方法に迷ってしまいました。ただ、まったく知らないのと一通り体験したことがあるのとでは気持ちの持ちようが異なると感じました。もしものときには、今日のことを思い出して対応したいです。」
「救命講習自体、まったくの初めて」だという方も多かった今回。さまざまなシーンに合わせて「このときはどうする?」と考えながら実践できた講習は、活きた内容として強く印象に残ったようでした。
保育園を起点とし、子どもの命を守る社会を実現したい
今回、地域に開かれた救命講習を担当しているのは、「子ども安全管理士(CPP)」の資格を持つ本部職員の田中さん。どろんこ会グループ入職後にチャレンジして資格を取得しました。今では消防署とのやり取りや当日の司会までを一手に担っています。
地域の方も参加できる取り組みにしようと思ったきっかけは、講習の参加人数の枠に余裕があるためでした。せっかく消防署と調整して講習を行うのであれば、職員だけではなく、より多くの人が救命技術を身につけられる場にしたい。そこで、上限人数から職員の参加者を除いた残り人数を、保護者や地域の方に開放しようと考えたのだそうです。
「保護者や地域の方は、なかなか救命講習を受けられる機会はないだろうと思います。貴重な機会なので、ぜひ引き続き参加していただけたら」(田中さん)。
今年度は、告知後1週間で6園から申し込みがあったとのこと。企画に参加する園は公募制。宮澤園長は、事前のインタビューに「日ごろから保護者や地域の方にも開かれた園づくりができればと、いつも考えていました。救命講習の企画を聞いて、これはよい機会だと思い、越谷どろんこ保育園での実施に手をあげました。園行事などにも、積極的にお誘いできたらと思っています」と話していました。
今後は、保護者や地域の方の他、近隣の保育士養成課程の学生に対する参加枠も設けたいと田中さんはいいます。保育園を起点とし、多くの大人が子どもの命を守り育む社会の実現に、これからも貢献していきます。
関連リンク
どろんこ会の安全保育の取り組みを「第二回 子ども安全学会」で報告
「子育て」で未来を変えませんか?
私達は子ども達の未来のために世界、社会を変えたいと思っています。私達と一緒に働きませんか。
保育士、看護師、栄養士・調理師、発達支援・療育スタッフなど募集しています。新卒・中途問わず、想いをお持ちの方のお問合せ・ご応募お待ちしています。