保育現場にもICT オンラインで繋がる遠隔地・仲間、変わる意識
2019.10.03
北は仙台、南は沖縄まで日本各地に展開しているどろんこ会グループ。本部のある東京から離れた施設の職員が、距離を理由に疎外感・孤独感を感じることがないよう、また、法人の理念や想いがきちんと伝わるよう、2016年に仙台エリアにどろんこ保育園をオープンさせて以来、ICT(情報通信技術)を駆使したウェブ会議を導入しています。
遠隔地の園にはウェブ会議用のパソコン・カメラ・マイク・スピーカーが配備され、パソコンやスクリーンを通して東京の本部などとオンラインでコミュニケーションをとります。各種会議の他に勉強会などもオンライン配信を行い、地方で頑張る職員をサポートしています。
今回は、前原どろんこ保育園(沖縄県うるま市)の岩田園長、郡山どろんこ保育園(福島県郡山市)の真島園長、春日どろんこ保育園(福岡県春日市)の北原園長、メリー★ポピンズ エスパル仙台ルーム(宮城県仙台市)の遠藤園長に、普段のウェブ会議の様子や感想をお聞きし、本部で主にオンライン配信を担当している運営部の森谷課長にもコメントをいただきました。
試行錯誤を経て快適なオンライン環境が整ってきました
──オンラインコミュニケーションについての印象、導入前のイメージ、使用状況はどうですか?
岩田 私は沖縄に来る前に仙台の園に勤務していたので導入当初から使っていたのですが、当初は音声や映像が不安定で不便に感じることもありました。4年目の今ではストレスなく使えていて、本部が試行錯誤しながら遠隔地と繋げようと努力してくれていると感じます。
真島 最初は繋がりにくかったこともあり、互いのコミュニケーション方法が分からなくて使いにくい点もありましたが、今ではいいツールだなと感じています。「僕がどうにかします!」と森谷さんを中心とした本部の皆さんがスムーズに繋がるよう動いてくれました。森谷さんは遠隔地で実際に使っているので不具合も把握してくれています。「機械を用意するので参加してください」という一方的な本部のスタンスだったら、こんなに現場で浸透することはなかったかもしれません。現地の実態を掴んでくれている方がいるので、改善も進みやすかったです。
北原 私はパソコンに不慣れなため、当初はできるかなと不安に思いましたが、今では問題なく自分で繋げています。
遠藤 私はスカイプ(ビデオ通話システム)などを使い慣れていましたので抵抗はなかったです。事務的な連絡はウェブの方が合理的で便利ですね。
オンラインで繋がる輪、広がる声、変わる意識
──ウェブ会議の利便性をお聞かせください。
北原 私は1年半前に福岡の春日どろんこ保育園に異動しました。最初は本部に行った方が伝わりやすいなと感じていたのですが、今ではウェブも便利だと感じています。他の職員も会議に参加できることで、直に本部からの方針などを伝えられるのが良いと思います。
岩田 費用対効果も感じています。打ち合わせの度に沖縄から本部へ行くのは時間的にも費用的にも大変ですが、このツールならすぐ繋げるので移動の費用や時間も節約できます。
──ウェブ会議が役立ったことはありますか?
岩田 今日、このインタビューの間にも、本部の部署と沖縄の園をオンラインで繋いで現地の職員に会計業務の説明をしています。私が別の会議をしながらでも現場の職員に教えてもらえるので、園長の業務負担も減りますね。
遠藤 私はこの前の汐見先生と安永理事長の対談にオンラインで参加できたのが良かったと思いました。ウェブでは機械をセットするだけで気軽に参加できるのがいいですね。本でしか読んだことのないお話を生で聞ける貴重な体験ができました。
真島 理事長の理念や方針の話も、顔を見ながら聞けるのが大きいですね。一体感があるんですよ。遠くで働いていても同じ会社の仲間という意識が湧くため、何か問題があっても、他人事ではなく自分のこととして考えられます。
地方だからと学べる機会に差が生じるわけではありません。むしろ、子育てスキル講座などは、どんどんオンラインで繋いでもらえるため、勉強会の回数は多いかもしれませんね。遠隔地にいながらにして最新の保育や子育てに関する情報が得られ、保育に関するスキルも向上できています。
北原 「オンライン勉強会に参加してよかった」「少しの時間でもオンラインであれば参加したい」という声が多数寄せられています。自分の園で参加できるので追加の移動時間もないし、遠隔地の方が参加する人数が多いかもしれません。職員みんなが子育てスキル講座を楽しみにしていて、最後まで参加できなくても休み時間に少しだけなど、各々が工夫して参加しています。
岩田 「沖縄の園で言われていることは沖縄だけの話じゃないんだね」「同じことを考えている仲間がいるんだ!」という声が現場から上がっています。私は東京から沖縄へ異動したので本部の方針などが分かりますが、現地の職員は分かりません。それをウェブ会議で繋げれば実感できるというのが大きく役に立っています。これはグループ法人として言っていることなんだな、というのが職員にきちんと伝わっていますね。
──オンラインの勉強会・会議でコミュニケーションが取れることでのメリットはありますか?
真島 スクリーンの前に集まれば、職員全員が同じことを見聞きできる事が大きいですね。遠隔地にいても本部の皆さんと同じ気持ちが持てるんです。
遠藤 「自分たちだけじゃない、間違ってなかった!」と背中を押してもらってる感じがします。あと、細々した業務の負担は確実に軽減しましたね。
岩田 この間は給食の調理について話すため、郡山と沖縄を繋いでミーティングをしました。書類もカメラに写せば見られますし、移動の時間なくスピーディに対処できるのもメリットだなと感じています。これからは本部とだけでなく地方の園と園を繋ぐことで、できる事が増えそうです。
──これからのウェブ会議に対する要望や改善する点などを聞かせてください。
岩田 ディスカッションのような会議だと同時に話したりするので、音声が聞き取りにくいことがあります。一緒に話に参加するのが難しいのが課題かなと感じています。
遠藤 臨機応変に使う方法を遠隔地側でも考えたいです。先ほどの話でもありましたが、私の園では職員同士でリモートミーティングをしたことがなかったので試したいと思いました。良いツールがすでにあるので、自分たちでもっと活用し、コミュニケーションをとっていきたいです。
真島 これからもオンライン会議は発展していくと思いますし、遠隔地だからといって本部との物理的な距離を不安に思うことはないですね。距離は離れていますが、孤独感、孤立感もないですよ。
遠隔地にいても疎外感を感じることのないウェブ会議へ
ウェブ会議を当初から担当している森谷課長は「自分たちで試行錯誤しながら今のシステムにたどり着きました。参加している人が空白の時間がないよう、疎外感がないように気をつけています。そして内容もオンラインで伝わるか・分かるかどうかを常に考えています」と話します。またこれからのウェブ会議の活用法として、保護者、学生、自治体へ向けても保育や子育てに関する講座を開いたり、学びの場をもっと幅広く提供したりしていきたいと考えているそう。
一方通行ではなく、双方がしっかり参加できることに心を配っているどろんこ会グループのウェブ会議。音声だけでなく顔が見えるからこそ実感も湧きます。距離が離れているから情報が届かない、成長できる機会がない、はICTの技術の進化とともに解消できる問題になりつつあるようです。どろんこ会グループではどこにいても、お互いが学び・繋がり合う環境を整備。誰でも平等に学びを深め、仲間意識を醸成することで保育の質向上に努めています。
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