施設長インタビュー 作業療法士の視点で「子どもの原体験」の大切さを考える
どろんこ会グループが運営する児童発達支援事業所「発達支援つむぎ」には、保育士、公認心理師、臨床心理士、臨床発達心理士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士、その他様々な専門資格を持った職員が働いています。発達支援つむぎ荻窪ルーム(東京都杉並区)の施設長を務める井坂さんは作業療法士。今回、発達支援つむぎに転職した経緯や作業療法士の資格を持つ施設長として取り組んでいることについて、インタビューしました。
「子どもの原体験」を大事にする発達支援に共感
どろんこ会グループに入職前はどんな仕事をしていたのですか?
— 実は、大学で学んでいたのは国際ビジネスで、大学卒業後はホテルで働いていたんです。敬語や礼儀作法など、社会人マナーの教育をしっかり受けられたので、ホテルでの実務経験は今でも役立っていますね。数年働いて転職を考えた時に、「人のために動く、人を助ける仕事をしたい」という想いはあって、またホテル業界で働くのか、医療系の仕事にチャレンジするのか悩みました。でも、さすがに今からドクターになるのは無理だなと(笑)。なので、まずは専門学校の説明会で様々な専門士の仕事を聞きました。その中で働く分野が幅広い作業療法士に興味を持ち、昼間は重症心身障害者の通所施設で働きながら、夜は専門学校に通って、作業療法士の資格を取ったんです。資格をとって就職先を探していた時に、発達支援つむぎの求人を見つけました。
なぜ児童発達支援の分野に?
— 成人の重症心身障害者施設で働いていた時に、通所されている方の人生がもっと豊かになるにはどうしたらいいのだろう、幼少期からの発達支援が大事なのではないかと思い始めたことがきっかけです。だから、子どもたちの「原体験」を大事にするどろんこ会グループの理念に魅力を感じて、発達支援つむぎで働きたいと思ったんです。
入職後のことを教えてください。
— 2018年4月に入職して、つむぎ荻窪ルームに配属されました。最初は施設長ではなかったのですが、施設長にならないかと打診され、自分で良いのかなと驚きました。でも、ゆくゆくは目指しているキャリアでもあったので、チャレンジすることに決めました。初めての施設長職で不安もありましたが、無事に丸一年経ちました(笑)。
作業療法士の資格を持つ施設長として積極的に取り組んでいることは?
— 私が配属されるまでは、つむぎ荻窪ルームには他ルームと兼務している作業療法士しかおらず、かつビルのワンフロアで構造上の制限もあり、運動発達へアプローチする器具がつけられなかったり、遊具や巧技台が少なかったりという状況だったんです。保護者からは運動面での支援の要望が多く、限られた環境の中で、「無いなら無いなりにできること、どうすれば自分の専門性を活かせるのか、どろんこ会らしい支援ができるのか」が課題でした。いろいろ考えた結果、必要な遊具や巧技台は揃えつつ、ビルの階段や近隣の公園、畑など戸外にある資源を活かしながらできるプログラムを立案しました。その中で作業療法士の専門的な視点を入れながら、運動発達へのアプローチをしています。
室内ではできないことを戸外でやってみることにチャレンジしたんですね。
— 最初は散歩に出るだけでも、引率する職員の配置、連絡手段など、安全確保の面でいろいろな課題がありました。それを一つ一つ話し合って安全が確保できるルールを決めていき、今では散歩はもちろんのこと、園芸に詳しい職員がいるので、畑活動も年間を通してできるようになりました。子どもたちと一緒に、土づくりから収穫まで楽しんでいます。
施設長としての今後の目標は?
— 専門学校時代、実習でいくつかの療育施設にも行きました。どの施設も、長年これが良い療育だとされていることを続けていました。もちろん、それはそれで一つの方法だと思っています。ですが、発達支援つむぎが目指している「子どもが主体」「原体験」を大事にした発達支援の方法もあるんだということを、法人内だけでなく社会全体にも浸透させていければと思っています。
ホテル業界から作業療法士となり児童発達支援へと、全く異なる分野へチャレンジした井坂さん。根底にあるのは「人のために動く、人を助ける仕事をしたい」という想いだそうです。様々な経験、想いを持った職員が働く発達支援つむぎ。今後も一人一人の想いを伝えていきたいと思います。
「子育て」で未来を変えませんか?
訓練ではなく、子ども達の「やってみたい」から広がる発達の可能性を大事にし、子どもがやりたい遊びや様々な本物の体験を通した発達支援を行っています。保育士、臨床心理士、公認心理師、臨床発達心理士、言語聴覚士、作業療法士、社会福祉士など、想いのある方からの応募をお待ちしています!