理念を共にした事業所内保育所を ブリヂストンとことこ保育園─前編
2020.01.16
2019年4月にリニューアルオープンした株式会社ブリヂストンの「ブリヂストン横浜保育園(愛称:とことこ保育園)」(神奈川県横浜市)は、どろんこ会グループが運営を委託されている事業所内保育所です。
多様なバックグラウンド・文化を持った社員が働くグローバル企業であるブリヂストンでは、ダイバーシティとインクルージョン(D&I)(※)の尊重を重視。さまざまな価値観や個性を持つ人々が「働きやすく、活躍できる」職場環境の提供、仕事と家庭の両立など多様な働き方の支援を行っています。ブリヂストンの事業所内保育所は、東京都小平市にあるブリヂストン小平保育園(愛称:ころころ保育園)(2008年6月開設)と今回訪れた「とことこ保育園」(2015年7月開設)の現在2園。出産後も、社員として長く働ける環境の整備を重視し、スムーズな復職をサポートするのが目的です。ただ広い敷地やきれいな園舎を用意するだけでなく、子どもにとって必要な力を育む保育を考えながら園作りを進めています。
今回は、そんなブリヂストンがどろんこ会グループをパートナーとして選んだ経緯や理由、保育園の様子などを、同社内のダイバーシティ推進ユニットで事業所内保育所を担当している桜井さん、一色さんにお聞きしました。
※D&I:ダイバーシティとインクルージョン。日本語では「多様性」と「受容」。バックグラウンド・文化・性別など、社員の多様性を受け入れ、それぞれの違いを認め活かし合いながら一体感のある組織として成長を推進する取り組みを指す。
大切な社員のために、仕事と家庭の両立を支援する保育園を
ー事業所内保育所の設立の背景を教えてください。
桜井さん:ブリヂストンでは、創業当時から社員の暮らしを大切にしたいという考えがあります。創業者の「社員の安定した生活を支えることが、社員の生産性を高めるのに重要だ」という考えから、戦後最初にできた工場には大規模な社宅エリアを設けた事例もあるんです。そうした社内風土のある当社でダイバーシティの組織が立ち上がったのが2008年でした。
多様性を認めるD&Iという考えを元にしている組織で、一番のきっかけとなったのが女性の就業支援です。出産・育児をきっかけに退職してしまう優秀な女性たちがたくさんいることは会社にとって損失ですし、大切な資産である人材の確保は会社の課題でもあります。女性が安心して働き続けられる環境を作るために、時代の流れとともに保育園が必要になってきたんです。
そして、2008年に小平市にある技術センターに「ころころ保育園」を開園しました。もともと社員の子どもたちのための福利厚生として設けていた「ベビーパル」という幼稚園の敷地を活用し、時代が求めている保育園事業へと転換したんです。
ーブリヂストンの事業所内保育所、第一号園である小平市の「ころころ保育園」開園に際し、どのような基準で事業者を選定しましたか?
一色さん:まずは、子育て中の技術センターの社員の方に、保育園に求めていることをざっくばらんにお話していただきました。寄せられた要望の中で多かったことが、「子どものことを一番に考え丁寧に見てもらいたい」「自然に触れる機会が少ない都会に住む子どもたちに、できるだけ自然体験をさせてほしい」でした。それらを日常的に保育の中に取り入れている日本福祉総合研究所様(どろんこ会グループ)が、会社にとっても保護者の方にとっても良いと判断しました。
桜井さん:幼稚園「ベビーパル」も手作り感のある教育をしていたため、どろんこ会グループの保育園は保護者の方が求める姿に近かったのではないでしょうか。畑を作るなど、活動に共感する社員が多く、どろんこ会グループの理念や保育と当社の求める保育とがマッチしたと思います。
一色さん:ブリヂストンでは保育園運営の経験がなく、1から作ることでいろいろな要望が出てきました。それらの要望にスムーズかつ迅速に対応してもらえた点も選定理由のひとつです。保育園運営のノウハウがあるのももちろんですが、一緒に作り上げていく姿勢、ニーズを汲み取って提案していただける点が、他社と比べて良かったと当時の担当者からも聞いています。
ー横浜市の「とことこ保育園」の開園にもどろんこ会グループを選んだ理由を教えてください。
桜井さん:「ころころ保育園」の利用者アンケートなどから、社員にどろんこ会グループの保育方針が受け入れられていることが分かりました。「ころころ保育園」を卒園し、保育園の隣に位置する小学校へ入学する、という子育ての流れに憧れる社員がたくさん出てきたんです。
そんな実績も踏まえ、どろんこ会グループなら問題ないということで、横浜地区での保育園開園でも同じようにお任せすることになりました。保育の方針が地区ごとに変わるのは望ましくないという考えもありましたね。
一色さん:検討時期に、他のどろんこ保育園が神奈川県内に開園していたのも決め手のひとつでした。何かあったときに同じグループの園があれば連携しやすいことや、地域特有のノウハウを知っている点も大きかったですね。
桜井さん:私たちは社員に対する福利厚生と同じように、社員の大切な家族である子どもたちのためにも良い保育園を作りたいと考えています。その想いを叶えてくれたどろんこ会グループの理念には、時代のニーズがよく反映されていると感じます。また保育士の方が子どもの発達に詳しいことも、頼りになる点ですね。実際に進めていくなかでとても価値を感じているところでもあります。
会社と園が一丸となってより良い保育園作りを
ー園との連携、コミュニケーションはどのようにされていますか?
一色:毎月1回、私と保育園関係の事務の担当者、宍戸園長とが集まる定例会があり、保育内容や毎月の活動に関すること、今後の入園者の情報などを共有しています。定例会の場以外にも、相談事があればメールや電話でその都度宍戸園長とやり取りしていますね。気になったことがあったらすぐ連絡しています。
ー利用されている社員の方からの評判はどうですか?
一色さん:「園庭も広く園外活動も豊富なため、のびのび遊ばせていただけている」と感謝の声をいただいています。また、家庭ではなかなか難しい様々な経験も体験でき、普段から子どもが楽しく過ごしているという声が非常に多いですね。
特に食育に関する評判がとても良いです。見学に来る方に、園児たちが野菜を育てていたり、味噌を作ったりしているという話をして、よく驚きのお声をいただいています。共働き世代だとなかなかできないことなので、それを体験できることが好評ですね。
桜井さん:先日行われた保護者会では、親ではなく、保育者の膝に乗って遊ぶ子を多く見かけました。子ども達が自然と保育士の元に行く姿を見て、子どもが保育者と信頼関係をしっかり築けていると改めて感じた出来事でしたね。子どもが寂しい思いをせず過ごせていると保護者の方が感じられることで、より安心して預けていただけるのではないかと思います。
ここの社宅は職場も近く住みやすい地域にある上、良質な保育園もあると羨ましがられていますよ。京橋の本社勤務の社員のなかにも、「この社宅に住んで『とことこ保育園』に子どもを預けたい」という人がいるなど、評判になっていますね。ここに入るために復帰時期を調整する人もいまして、社内でも人気なんですよ。
ー今後の要望などはありますか?
一色さん:これから利用園児が増えていくなかで、人数に応じ対応に変化が求められることもあるかと思いますが、一つひとつ解決しながら一緒に進めていきたいですね。社員も園児との交流を楽しみにしており、工場の納涼祭など会社の行事への参加を嬉しく思っているようです。会社と園とが協力しながら、地域に愛される保育園へとなっていければと思っています。
桜井:外側の建物は私たちでも用意できますが、本当に大切なのは中身です。社員も、通う子どもも、満足できる保育内容を期待しています。
今は低年齢の子どもたちが中心ですが、就学前まで預かって欲しいという声もたくさん届いています。年齢が上がると今までとは違った教育的なことも期待されてくると思いますので、保育士さんたちにやりがいを感じながら対応をしていただきたいですね。求められる対応の幅が広がることに、やりがいを感じていただければ嬉しいです。私たちはD&Iという考えを進めていますが、ここの施設はその考えを体現していると胸を張って話せると思っています。
桜井さん、一色さんありがとうございました。後編では宍戸園長にお話を伺います。
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私達は子ども達の未来のために社会、世界を変えたいと思っています。事業所内保育園の運営もそのひとつ。子どもの預かり場としてだけではなく、質の高い保育を提供しています。事業所内保育園でありながら、どろんこ会グループの一園でもあるため、充実した研修や勉強会への参加が可能。保育スキルを磨き続けられますよ。
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