理念を共にした事業所内保育所を ブリヂストンとことこ保育園─後編
2020.01.23
どろんこ会グループが運営に携わっているブリヂストンの事業所内保育所「とことこ保育園」(神奈川県横浜市)。2015年7月に開園し、2019年4月にリニューアルオープンしました。ワンルームの施設から広い園庭・園内へと環境が変わり、現在は広い環境を活かした新たな活動を取り入れ、より一層の保育の充実を図っているところです。
同園のインタビュー記事の後編では、宍戸園長に普段の活動の様子や他のどろんこ会グループの保育園との違い、園舎が新しくなっての感想などを伺いました。
「理念を共にした事業所内保育所を ブリヂストンとことこ保育園─前編」を見る
低月齢に合わせたどろんこ会グループらしい保育を
ー宍戸園長の経歴を教えてください。
宍戸さん(以下、宍戸):前の保育園には14年勤めていたのですが、自分のやりたいことを実現できる場所を探しているなかで、どろんこ会グループに出合い、理念に共感して入社しました。「とことこ保育園」は2015年の開園から携っていて今年で5年目になります。
ーこの園ならではの特色はありますか?
宍戸:工場の納涼祭に毎年お声がけいただき参加するなど、ブリヂストンと共同の活動ができる点が他の園にはない特色だと思います。一方で、ブリヂストンで行われている産休・育休中の社員の復職セミナーに協力したこともあります。社員の方に実際に園に来ていただいて、離乳食を食べてもらったり活動内容を紹介したりしたんです。直にお伝えできる機会を作っていただき、感謝していますね。参加した方の多くが入園を希望されたとも聞き、とても嬉しく思っています。
ーどろんこ会グループの保育園との違いをどう感じていますか?
宍戸:運営元が同グループとはいえ、0~6歳までの子どもが通う大規模のどろんこ保育園とまったく同じようにできるわけではないと感じています。ですが、できないことをできないで終わらせるのではなく、替わりに何ができるのか考えることに時間を費やしていますね。どんな方法なら自分の目指す保育に近づけるかを常に考えています。他の職員とも、「とことこ保育園」でできることは何かをよく話し合っているんです。園舎が新しくなることで、今一度自園でできることを考える機会ができました。新しくできることが増えているはずなので、できることを見つけるために自分がもっと学んでいかないとけないなと感じています。
そのために会議の時に他の園の先生などに相談したり、アドバイスをいただいたり、自分から積極的に動くよう心がけています。
ー新しい園舎に移っての感想を教えてください。
宍戸:以前のワンルームの施設から広い園舎に移ったので、まず施設の中でみんなでどう生活をしていくかの導線作りからスタートしました。
園舎が変わって 8ヵ月経ちますが、とにかく子どもたちがこの新しい園舎をすごく気に入っていて、毎日「早く行こう!」と保護者の方を急かしながら登園してくる様子を見かけています。その子どもの勢いに大人が負けないようにしようと、日々職員同士で話しあっています。
ー日々の活動の様子などはいかがですか。
宍戸:新しい環境に慣れてきた段階で、お散歩などの園外活動も取り入れていきました。4月は15人だったのですが、夏を過ぎると20人を超えどんどん人数が増えてきたため、今は0〜1歳児の低月齢児と1歳半〜2歳児の2グループに分けて活動しています。廊下が広いので机を出して皆でおやつを食べたり、夏はプールを楽しんだりしました。廊下は子どもが自然と集まり生活の場となっています。
ー自然体験はどのように取り組んでいますか?
宍戸:0〜2歳児と低年齢が中心の園なので、3歳児以降の幼児グループもあるどろんこ保育園の活動内容をそのまま取り入れてしまうことは、子どもの発育段階的にも難しいことが多いです。例えば、どろんこ会グループで毎年行っている田植え・稲刈りツアーに0~2歳児が一人で参加、は現実的ではありません。。それならばと無理に同じことはせずに、今ある環境で子どもたちができる年齢に合わせた体験をしようと考えています。これは私がこの園に携わるようになってからずっと大切にしていることでもあります。
低年齢の子なら歩く、触るだけでも大切な経験になります。例えば歩くだけでもどのようなところを歩くのか、砂利道なのか、土なのか、歩く場所によってどんな刺激があるのかを考えれば、子どもはさまざまな体験を積めるでしょう。直接体験から「にんげん力」を育みたいどろんこ会ならではの、一歩深めた体験機会を作れると思っています。
ー食育が保護者から好評だそうですが、どのような活動を行っていますか。
宍戸:この園の環境ならどのような体験ならできるか、何が一番子どもの興味関心を引くか、を考えたときに、「食べること」は年齢に関係なくずっと続く大切なことだなと思ったんです。「食べること」は次の意欲にも繋がっていくので、しっかり食べる意欲のある子を育てたいという想いがありました。
味噌作りや野菜の栽培も行い、0歳児には野菜に触る、匂いを嗅ぐといった体験の機会を作っています。料理を出す前の材料に触れるということだけでも、貴重な体験になるんですよね。
他にも調理に使う野菜を洗ったり、2、3歳児を中心に毎週1回お米を研いだりといった活動をしています。今では、それを見ている1歳児の子たちも米研ぎに参加しはじめています。水や米つぶが飛ぶこともありますが、この園ならスペースもあるので、皆でわいわいと楽しく活動ができています。
おかげで食に関して困っていることはないですね。子ども達の好き嫌いも少ないと思います。「今日は◯◯ちゃんがお米研いだよね」「私が洗ったから食べるの」などの会話が増え、食べてみようと思えるきっかけにもなっています。
ー開園してからの印象的なエピソードはありますか?
宍戸:当園では0~2歳児の子どもが20人程度にも関わらず、給食用に3リットルのお出汁を取るほど、味噌汁が子どもたちに人気です。もちろん使う味噌は子ども達の手作りのもの。一度手作り味噌の熟成が間に合わず、市販の味噌を使って味噌汁を作ったことがあったのですが、その時は劇的に飲む量が減りました。手作りのものに戻すと飲む量が増え、子どもたちの味覚の成長を感じましたね。
ークライアントであるブリヂストン側とのコミュニケーションはどうしていますか?
宍戸:月一回定例会を行う他、その他の時期も頻繁にやり取りしています。細かい相談やお願いごとも、電話のやり取りですぐ解決してくださるのでありがたく思っています。保育園に通う子どもにとって、一番良いことは何かを一緒に考えてくださるんです。そのような場があることはすごく幸せなことですし、心強くもありますね。
ー今後の課題と感じていることはありますか?
宍戸:以前の園舎からの子が半分ほどいるので、子どもたちの横の繋がりが強いんです。そこから人数も増えて年齢も上がってきたので、次は縦の繋がりを大切にした活動を計画中です。今年の終わりから来年初めにかけて幼児クラスの基礎を作っていこうと考えています。縦と横の繋がりをしっかりと見据えた保育が、「とことこ保育園」での今後の展開に必要だと思っています。
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「子育て」で未来を変えませんか?
私達は子ども達の未来のために世界、社会を変えたいと思っています。事業所内保育園の運営もそのひとつ。子どもの預かり場としてだけではなく、質の高い保育を提供しています。事業所内保育園でありながら、どろんこ会グループの一園でもあるため、充実した研修や勉強会への参加が可能。保育スキルを磨き続けられますよ。
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