発達支援つむぎの「畑仕事」~本物の体験が子どもの力を育む~

2020.12.17

#発達支援

発達支援つむぎ 調布ルーム

どろんこ会グループが運営する児童発達支援事業所「発達支援つむぎ」が大切にしているのは、戸外での活動です。室内のプログラムだけでなく、様々な戸外活動を通して、子どもたちの見る力、考える力、運動能力、感覚機能、自立心、コミュニケーション力などを育んでいます。

今回は戸外活動の一つである「畑仕事」について、発達支援つむぎ 調布ルーム(東京都調布市)の取り組みをお伝えします。

発達支援つむぎ 調布ルームの「畑仕事」の様子

発達支援つむぎ 調布ルーム(以下、つむぎ調布ルーム)は、京王線「西調布駅」から徒歩1分のビルのワンフロアで運営しています。駅前のビルではありますが、幸いなことに、調布ルームから徒歩10分の場所に、ビルのオーナーのご親戚が管理している畑を借りることができました。

2020年の春、2ヶ月にわたる緊急事態宣言により、外で遊ぶことを制限された子どもたち。そのため宣言解除後は、子どもの発達に必要な外遊びの保障という面においても、コロナウイルスの感染防止対策としても、戸外で活動する日、畑に行く日を増やしました。子どもたちは畑に行くと、元気のない野菜を心配して「おいしくなーれ」「大きくなーれ」と友達と声をかけながら水をやり、「畑マスターになるんだ!」と草とりに励むなど、楽しそうに活動していました。

畑に水をまく子どもたち

畑仕事を通して、友達と協力する経験を積み重ねます

大きなナス

畑仕事の成果!子どもの顔ぐらいの大きなナスが収穫できました

つむぎ調布ルームのカフェには、継続して畑に関心を持ってもらえるように野菜の成長記録を掲示しています。畑に行かない日でも、畑の様子が気になるのか、自分から写真を見て野菜の成長を確認する子どもたちもいるそうです。

畑の様子の写真

カフェに掲示している成長記録

10月は、夏野菜から秋と冬の野菜用の畑にするための準備をしました。夏野菜の茎や葉っぱを、「この茎は固いな!」「こんどはこの大きい葉っぱを取りたいな」と、様々なことを感じながら片付ける子どもたち。大変な作業でも楽しみの一つになっているようです。

夏野菜の茎や葉っぱを片付ける様子

「こんなに長い茎が取れた!」

収穫だけではない「畑仕事」から様々なことを経験する

つむぎ調布ルーム職員の山内さんは、「単なる野菜の『収穫体験』ではなく、土作りから種まき、草むしり、虫や鳥に食べられない工夫など、野菜を育てるのに必要なたくさんの『畑仕事』があることを、子どもたちに経験してほしいと思っています」と話します。

その話の通り、室内の活動でも、子どもたちは「畑仕事」につながる制作「かかしづくり」に取り組んでいました。「かかし」を見たことがない子、そもそも「かかし」を知らない子もいます。「かかし」の仕事が分かる絵本を読み、鳥を追い払うものだと知った後、その知識が「生きた知識」になるよう、実際に「かかしづくり」にチャレンジです。

かかしの頭部

丸めたトイレットペーパーを袋につめて作った「かかし」の顔

子どもたちがグループに分かれての協同作業では、「かかし」の髪の長さはどうするか、洋服の装飾はどうするか、子ども同士で様々な話し合いが行われていました。完成した「かかし」を深さ30cmの穴を掘って立たせる作業では、「かかし」を支えていた友達が「疲れた」とつぶやいたのを聞いて「ぼくもやるよ」と手伝う姿も。実際に「かかし」を作ってみることで、野菜づくりには「収穫」だけではないたくさんの仕事があることを知りました。

土を掘る子どもたち

30cmの穴を掘る作業。ものさしで測りながら進めました

カカシを立てる子どもたち

「かかし」を立たせるのは大変な作業と知りました

さらには、職員や友達との協同作業の中で、共感する、共感してもらう経験を積み重ねることは、適切な「コミュニケーション」や「言葉の発達」にもつながっていきます。ものさしで深さを確認しながら掘ることは、数字への興味や道具を使った測り方を知るきっかけになります。

大人の指示通りのプログラムではなく、子ども自身がやってみたいと思うこと、「本物の体験」から様々なことを知る、学ぶことができる環境を用意すること、それがどろんこ会グループの発達支援つむぎが大切にしていることです。「畑仕事」はまさに様々な体験ができる戸外活動となっています。

畑にたつかかし

無事に完成!つむぎの畑を見守ってくれています

「畑仕事」で大切にしていること

つむぎ調布ルームが「畑仕事」を始めたのは、2019年。職員の山内さんに、2年目となる2020年はどのようなことを目指して取り組んでいるのか聞いてみました。

「去年は、職員が先に準備していたり、手助けしたりしていたことがあったので、今年は『子どもたちと一緒に』を目指しました。例えば、今年は一緒に土作りをしました。収穫だけ体験して『楽しいね』ではなく、種を蒔く前にも仕事があること、定期的に草を取らないといけないことを知って、継続的に野菜の成長過程を見ながら、いろんなことに気づいてほしいと思っています。週1回は畑に行くようにして、子どもたちが体験できることを増やしています」とのこと。

また、「畑仕事」には体をたくさん動かしたり、手先を使ったりなど様々な動きがあります。昨年も体験した作業が、今年はどのように体や手先を動かして上手くできるようになっているか、「畑仕事」は子どもたちの発達を確認するきっかけにもなっているそうです。

台車を押す様子

手の力やバランスを取る力がいる台車。押してみたくて、頑張ります

施設長の御殿谷さんは「定期的に畑に行くようになって、地域の方とご挨拶を交わすようになり、地域とのつながりが生まれました。地域の方が育てた野菜をいただくこともあり、地域交流の取り組みとしても大事な活動にしたいと思っています」と語ってくれました。

つむぎ調布の山内さんと施設長
山内さんと御殿谷施設長

発達支援つむぎの他の事業所でも、様々な戸外活動に取り組んでいます。また別の機会にその様子をレポートしたいと思います。

関連リンク

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つむぎ調布ルームの畑仕事の様子はブログでも発信中!

畑仕事

「かかしづくり」

「秋冬仕様の畑」

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