JR東日本「拝島駅」と発達支援つむぎ 荻窪ルームで「共生社会の鉄道」について 意見交換会を実施
2021.05.13
2021年3月、発達支援つむぎ 荻窪ルーム(東京都杉並区)は、JR東日本 八王子支社「拝島駅」(東京都昭島市)の駅員の方々と、発達障害がある方や子どもたちが鉄道を利用する時にどのようなサポートがあると良いのか意見交換会を行いました。意見交換会の前には、駅員の皆様のご協力のもと、子どもたちの体験学習「駅探検 ~駅員さんの仕事を体験しよう~」も開催。当日の様子をお伝えします。
興味や関心を広げる「本物の経験」
つむぎ荻窪ルームはJR「荻窪駅」の目の前にあり、子どもたちは窓から駅を行き交う電車をよく見ています。職員は、「本物の経験」を通して子どもたち自身が興味や関心の幅を広げられるよう、体験学習を企画。職員とつながりのあった拝島駅の方に相談すると快諾いただき、意見交換会と同日に実施することになりました。
「駅探検」では、駅長室や電車の運行状況を確認する機械がある執務室、券売機の裏側、駅員の方が宿泊する部屋などを見学しました。駅員の方が各所をまわりながら様々な仕事を説明してくださり、時には体験をさせていただきながら、電車を見ているだけでは分からない「駅員さんの仕事」を知る機会となりました。
「共生社会の鉄道」についての意見交換会
まずはつむぎ荻窪ルームの職員が、発達支援つむぎの紹介をしながら、「発達障害」の様々な特性や生きづらさを説明しました。「発達障害」は周りからは分かりづらい障害と言われており、社会的に不適切とされる行動が「保護者のしつけができていない」や「子どものわがまま」などと捉えられることもあります。
しかしその原因は、保護者のしつけや子どものわがままではなく、先天的な脳の一部の機能障害と言われ、特有の感じ方や物事の捉え方が、周りから理解されない生きづらさにつながっています。職員は、こうした話を交え、「地域社会との交流の場をつくり、発達障害の特性を理解してくれる人が地域に増えていくことが共生社会につながる」ことを伝えました。
その後は、駅員の方々が電車内や駅構内での様々な場面を想定し、適切な対応やサポートについて話し合いました。特性は一人ひとり違うため、対応やサポートにマニュアルがあるわけではありません。「困っている背景」に寄り添う個別的な対応や言葉がけ、また、筆談メモやイラストなど視覚で分かるツールを用意しておくことも大事だと双方で確認しました。
意見交換会には、JR東日本の総合企画本部の方も参加され、「共生社会の観点から、誰にとっても使いやすい鉄道を目指したい」との想いを語られました。発達支援つむぎとしても、子どもたちが地域の中で生き生きと暮らしていくためには、公共交通機関の方々の理解とサポートが必要だと考えています。
今回のような体験学習と意見交換会の場を設けてくださったJR東日本の拝島駅の皆様に感謝し、今後も発達支援つむぎは「共生社会の実現」に向けて、様々な地域交流を積み重ねてゆきます。