保育園で学ぶ食の循環 コンポストからつなげるSDGs
2021.12.02
どろんこ会グループでは食育を大事にしています。生命と食の循環を知るために、さまざまな体験の機会も創っています。園庭内やプランター、近隣に畑を借りて、子どもたちは畑仕事をします。収穫した野菜は給食でいただいたり、子どもたちが料理をしたり、ケチャップやたくあん、梅干しに加工したりもします。
食の循環においては、ただ食べるだけではなく、さまざまな施設で挑戦していることの一つとして、コンポスト作りがあります。ヤギを飼育している施設ではその糞を発酵させて堆肥とし、それを畑にまいて野菜を育てます。
一方、ヤギのいない施設でもできることはいろいろあります。今回はメリー★ポピンズ 市川ルーム(千葉県市川市)とメリー★ポピンズ kids朝霞ルーム(埼玉県朝霞市)、いずれも駅に近い都市部の施設での工夫を紹介します。
段ボールコンポストから発見の日々
メリー★ポピンズ kids朝霞ルームでは、子どもたちが調理スタッフと共に段ボールコンポストを作りました。段ボールコンポストは多くの自治体でも作り方を紹介しているように、通気性と保温性に優れ、かつ蒸散性もあるため、生ごみを分解する微生物の活動に適した環境となるようです。
まずは段ボールにピートモス(編注:複数の植物が堆積して腐植化した泥炭を乾燥させ砕いて作った園芸用土)に、もみ殻くん炭を入れて混ぜ合わせ、その後、野菜の下処理で出る皮や種を毎日入れて混ぜ合わせていきます。
コンポストを触るとじんわりと温かいことに気づいた子どもたちは大興奮です。中で発酵が始まっていたのです。
さらにコンポストに混じっていたカボチャの種から根が出ていることを発見し、プランターに植え、育ててみることに。
コンポストからさまざまな自然現象を発見する子どもたち。経験から気づきを得る貴重な機会となっています。
ごみの減量に取り組み、身近でできるSDGsを
メリー★ポピンズ 市川ルームは、JR総武線本八幡駅から徒歩圏内にある施設です。テナント型保育園で、ビルのワンフロアで保育を行っています。
施設長の抜井さんは、「園庭がないため、子どもたちが土に触れる経験が少なくなりがちですが、ビルの花壇をお借りすることができ、プランター栽培に取り組んでいます。今年からコンポスト作りを始めたのは、自分たちが育てている野菜の土作りにつながることや、身近でできるSDGsとしてごみを減らす活動も意識していけたらと考えたからです」と話します。
密閉型のコンポスト容器を購入し、残菜を入れ、いざ発酵させてみると、最初はにおいにとまどったりもしたといいます。また出来上がった堆肥を畑にまいてみると、かぼちゃの種が分解されず残っていて、そこから芽が出たり、大きく育った芽がうまく育たずに枯れてしまったり。予想外のトライアル・アンド・エラーをしながらも、子どもたちと楽しみながら野菜を育てています。
日々の活動に取り入れたことで、子どもたちの口からもコンポストという言葉が聞かれるようになったといいます。こういった行動が環境にどうつながっているのかも伝えていくことで、子どもたちの意識も変わってくることでしょう。