保育園での置き去り・見失い事故を防ぐため 散歩のロールプレイング研修を実施

2022.06.16

#保育

つつじヶ丘どろんこ保育園 メリー★ポピンズ 登戸ルーム メリー★ポピンズ 稲城ルーム 発達支援つむぎ つつじヶ丘ルーム 読売ランド前どろんこ保育園

保育園での散歩中の置き去り・見失い事故が今、社会的に問題視されています。

年度初めは新入園児も多く、また新しいスタッフも加わり、特に注意しなければならない時期となります。

そこで5月中旬、つつじヶ丘どろんこ保育園と発達支援つむぎ つつじヶ丘ルーム(東京都調布市)、メリー★ポピンズ 稲城ルーム(東京都稲城市)、読売ランド前どろんこ保育園(神奈川県川崎市)、メリー★ポピンズ 登戸ルーム(神奈川県川崎市)の主任が企画し、散歩のロールプレイング研修を実施しました。

事前に打ち合わせをする主任たち
事前に打ち合わせを実施する主任たち

保育園の散歩は都度都度の人数確認が大事

研修を受けたのはリーダークラスの保育士たち。次の4つのシチュエーションを想定し、保育士役と子ども役に分かれ、実際に行動をしてみました。その行動を各園の施設長と主任がチェックします。

  • 園から公園までの道のり
  • 遊具のある公園内
  • 公園内の広場
  • 公園から園に帰るまでの道のり

園から公園に行く間には見通しの悪い交差点、踏み切りを渡る設定です。

いざ出発と保育園の入り口を出るところで、早速人数を数えて記入表に記入したかどうかの確認が入りました。読売ランド前どろんこ保育園の松久保施設長からは「年度初めは特に、園を出る時に施設長か主任が立ち会う習慣をつけましょう。さらにこのタイミングでハザードマップを用意しておき、把握できているかどうかの確認を取るとよいと思います」とアドバイスがありました。

線路などは手作りで
手作り線路を設置

大人2人が散歩に同行する場合、先頭と一番後ろに保育士がつきますが、曲がり角では先頭がゆっくり歩き、後ろの人が人数確認ができるように配慮するということもを実際に確認し合いました。見通しの悪い交差点でも人数確認が大事です。

続いて踏み切りでの注意点は、1歳児、2歳児がいる時に焦らせてしまうと転ぶ危険があるため、列の間を詰めて渡り、渡り終わった後も人数確認と言います。さらに、散歩カートの車輪がレールにはまってしまうことが最も危険ということなど、経験豊富な主任たちからは次々に重要なことが伝えられ、参加者の表情も引き締まりました。

カギとなるのは保育士の立ち位置、遊びの順番

そして公園に着き、子どもたちにとって魅力的な遊具がいろいろある中、保育士はどのような動きをするのがよいのか、「こんな時どうする?」といったショートディスカッションも行いながら進めました。

遊具のある公園の設定
砂場、滑り台、鉄棒、ブランコを設置した公園で立ち位置をどうするか検討

設定は子ども23人に対し保育士を3人とし、公園の入り口は二つあるというものだったので、3人の役割分担として1人は入り口付近の見守り、1人は子どもたちと共に遊び、もう1人は個別対応をしていくという割り振りになることを確認しました。

ショートディスカッションの中でも「子どもたちがブランコで遊びたいと言ったらどうするか」という問いかけは、保育士の技術・経験が求められるものでした。

この時の保育士役は子どもたちをブランコに誘導したものの、順番を待っている間に一部の子どもたちは滑り台に行ってしまいました。

ブランコの注意点を伝える松久保施設長
ブランコを点検する際の注意点を伝える松久保施設長

そこで施設長たちから指摘されたのが遊びの順番でした。どろんこ会グループではブランコは落下の危険性もあることから、1基につき1人の保育士がつくこととマニュアルで定めています。そのため別の遊具に子どもが移動してしまうと対応ができなくなることを予想し、順番がすぐに回ってくる滑り台をした後に、集団遊びを取り入れ、そのあとにブランコに乗りたい子どもを誘導するとよかったのではと話し合いました。

続いては「子どもがトイレに行きたいと言ったらどうするか」という日常的に発生する場面です。その際のポイントは、トイレの場合は行く前と戻って来た時に人数確認を行い、コミュニケーションを取り合うこと。置き去り・見失いを防ぐにはスタッフ同士の連携、チーム力が重要ということも学びました。

法人の定めるマニュアルを読み直す
法人が定めているマニュアルを再度読み合わせる

そのほか、滑り台で起きやすい事故、鉄棒やジャングルジムのリスク、近隣の方も利用している時の砂場でのマナーなど、公園内で気をつけるべきことも話し合いました。

スムーズな人数確認のための遊びのスキルを身につける

最後は園に戻るために集合する際に注意すること、そして帰り道でのポイントをチェックしました。

そこで「例えば一人が追いかけっこで子どもたちを引き付けながら一カ所に集めたり、子どもたちが遊びながら集まりたくなる方法を考えるのがポイントです」と施設長や主任からアドバイスが。

駐車場があるところでは必ず止まることを学ぶ
駐車場がある所では必ず止まることを学ぶ

そして帰り道にも幾つか注意すべきことがありました。

  • 駐車場がある場所では先頭の保育士が必ず止まること。
  • 道路を横断している際に車が曲がってきた場合は、子どもたちの横断が終わるまで車に待っていただくよう保育士が誘導すること。
  • 工事中の場所や駐車車両で道が狭い場合は、前後の距離を詰め、素早く通り過ぎること。
  • 横断歩道のあとは目視でよいので人数確認。
  • 最後、園に入る前と入った後も人数確認を忘れずに。

よりよいアイデアを出して保育の質を高め、子どもたちの安全を守る

今回のロールプレイング研修を4園の主任が合同で企画するのは初めてのことでした。それぞれに感想を尋ねると

企画した主任3人
左から穂坂さん、長澤さん、市川さん

穂坂さん(メリー★ポピンズ 登戸ルーム):「ある程度の設定はしていましたが、臨機応変に起こりうることを想定し、次に生かせるように経験を蓄積していきたいと思いました」

市川さん(つつじヶ丘どろんこ保育園):「今日さまざまな設定を試してみて若いスタッフからの質問を聞いて、ちょっとした疑問を解決できていないことに気がつきました。今後は経験が浅いスタッフが困っていることや疑問に思っていることを出し合って解決していく会も行いたいと思いました」

長澤さん(メリー★ポピンズ 稲城ルーム):「主任になって初めての挑戦で、打ち合わせも1回しかできなかったので、それぞれのシチュエーションの狙いや重点ポイントをもっと共有しておけば、さらに深い学びになったと思います。今日もいろいろな場面が出てきたので次に生かしていきたいです」

とそれぞれ学びを得ました。

松久保施設長からアドバイス
数々の大事なポイントを伝えた松久保施設長

最後、松久保施設長は「法人が定めているマニュアルをきちんと守ることは基本ですが、どうすれば守れるのかを皆で意見交換をしながらよりよい方法やアイデアを見つけていくことができれば、保育の質もさらに上がるのではないかと思います」と研修を締めくくりました。

保育中の子どもの置き去り・見失いは決して起こしてはならないこと。だからこそどろんこ会グループの施設ではさまざまな事例を共有しながら学び合い、防止策を講じています。

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