大人にもホンモノの経験を 「梅仕事」用の梅収穫にスタッフがチャレンジ
2022.07.07
毎年梅雨の季節に行う「梅仕事」。どろんこ会グループでは、子どもたちに日本の食文化を伝えることを目的に、各施設で子どもたちと一緒に梅シロップや梅干しづくりに取り組んでいます。
その梅仕事に使う梅の一部は、スタッフや代表自ら収穫しています。子どもたちにホンモノの経験を提供するためにも、大人も実際に経験することを大切にしているからです。毎年梅取りの参加者を募り、所属や職種が異なるスタッフが、代表と一緒になって収穫作業を行っています。
今回は、そのスタッフによる梅採りと、実際に収穫した実を使った梅仕事の様子を紹介します。
初対面のスタッフ同士で協力し合った梅採り
今回梅採りに参加したのは、宮下どろんこ保育園(千葉県君津市)、メリー★ポピンズ豊洲ルーム(東京都江東区)、池上どろんこ保育園(東京都大田区)、北千住どろんこ保育園(東京都足立区)、つくばどろんこ保育園(茨城県つくば市)の各施設スタッフ5人と、本部スタッフ2人、どろんこ会グループの高堀代表の計8人。
まずは梅の木の周りに青色のビニールシートを敷き、その上に梅を落としていきます。緑が生い茂っているため、草の上に青梅を落としてしまうと見つからなくなってしまうからです。
脚立に上って直接収穫したり、長い棒でひっかけて落としたり、木に登って探したり。各自ができる方法を探して、役割分担しながら梅を収穫していきます。
高い場所にある実は枝を揺らして落としていきます。勢いよく落ちてくることもあれば、なかなか落ちてこない実も。あの手この手で梅の実を採ろうと試行錯誤します。「梅の実一粒採るのにこんなに苦労するとは思いませんでした」との声も。
収穫した梅は、傷んでいる実を取り除いた上で、どろんこ会グループの各施設へ発送。子どもたちの「梅仕事」に使います。
子どもたちも夢中になった梅シロップ作り
宮下どろんこ保育園の施設長である小松さんは、今回の梅採りでの経験を子どもたちに話しました。茨城県まで取りに行ったこと、たくさんの大人が木に登って収穫したこと、梅の実はとてもデリケートで落とした衝撃で割れてしまうことなど、梅採りの様子を写真とともに話すと、子どもたちは興味津々な様子で聞き、「梅の木は保育園の屋根より高い?」「茨城県って納豆が有名なところでしょ?」と、さまざまな質問が飛び交いました。
まずは梅の実の下処理を行います。梅の感触や香りを楽しみながら、竹串で一粒ずつヘタをとり、丁寧に洗います。
届いた梅の中には傷んでいる実もありました。小松さんが「箱に詰めるときに全部確認したけど、傷んでいるものは一粒もなかったんだよ。運ぶ途中にぶつかり合ったり、ちょっとした衝撃ですぐに傷ついちゃうんだよ」と話すと、子どもたちは、梅の実が傷つきやすく繊細なことを理解したようで、まるで生みたての卵を持つような手つきで優しく扱いました。
洗った梅は水気を拭きとり、串で穴を開けたら梅の下処理は完了です。
下処理した梅と、同量の砂糖を交互に瓶に詰めていきます。時間とともに砂糖が溶け、梅の水分が出てくるので、シロップが完成するまで1カ月ほど、毎日瓶を転がして混ぜます。
スタッフの生きた体験が子どもたちの興味関心を引き出す
梅採りに参加した小松さんは、今回の梅仕事についてこう語ります。
「今回梅採りに参加した経験を子どもたちに話したことで、例年以上に子どもたちの梅に対する興味関心がとても強くなりました。今まではシロップを混ぜることを忘れてしまう日もありましたが、今年は子どもたちから声をかけ合って、一日に何回もかき混ぜるほどです。今回の梅仕事を通して、スタッフの関わり方一つで子どもの興味関心の度合いが大きく変わることを痛感しました」
今回の梅採りでは、保育に対する姿勢を振り返る良いきっかけになったと話す小松さん。今年度の収穫量は例年に比べ芳しくありませんでしたが、参加したスタッフにとって多くの収穫があった取り組みとなったようです。子どもだけではなく、大人もたくさんの経験から学ぶことで、日々の保育がより豊かなものになるよう取り組んでまいります。