タイ出身の保護者を招いた異文化交流 美しが丘どろんこ保育園の取り組み

2022.07.14

#保育

美しが丘どろんこ保育園

日本で働く外国の方が年々増加し、日本の保育園や学校に通う外国にルーツを持つ子どもも増えています。どろんこ会グループの保育園にも外国にルーツを持つ子どもが増えており、約6000家庭の利用者のうち、3.5%が外国籍の方で(2021年11月自社調べ)、異文化交流の重要性が高まっています。

どろんこ会グループは障害の有無で分ける保育ではなく、すべての子が、頼り合い、ぶつかりあい、教え合うインクルーシブ保育を実践しています。同じように、国籍や言語、文化の違いを理解することで、乳幼児期からの多文化共生の土台作りにも注力しています。

今回はその取り組みの一つとして、美しが丘どろんこ保育園(神奈川県横浜市青葉区)の「保護者を招いてタイを知ろう」を紹介します。

大人も子どももたくさんの発見と刺激のある異文化交流

お招きしたのはタイ出身のお父様。子どもが生まれてから来日されました。タイ語しか話せないこともあり、お母様が通訳しながらタイのことを紹介しました。この日は、世界地図を使ってタイの位置を確認したり、タイ語の挨拶を教えたり、タイの文化を写真で見せたりしました。

地図を見ながらタイの首都である「バンコク」の位置を確認
地図を見ながらタイの首都である「バンコク」の位置を確認

その中で子どもたちが驚いていたのはタイのバイクでした。

特に首都バンコクは人口密度が高く、日々交通渋滞が発生していると言います。そのため、バイクはタイにおける主要な移動手段です。「なるべく早く目的地に到着できるように、定員2名のバイクに3人乗りや4人乗りなどの様子もタイでは日常です」とお父様が言います。

バイクの乗り方に驚く子どもたち
バイクの乗り方に驚く子どもたち

続いて、タイ米について紹介しました。「ジャスミン米」と呼ばれる、細長い形状をした長粒種の一種です。その名の通り、炊くとジャスミンのような甘い香りが広がります。そして食べたときはパラパラとした食感が特徴です。日本米とはどう違うのか実物を子どもたちと見比べました。

タイ米と日本米の違いを説明
タイ米と日本米の違いを説明

袋に入った2種類の米を触って感じたり、目で違いを確認したり、においを実際かいで見たりと、子どもたちは五感を使って楽しみました。その様子を見て、今回の異文化交流を企画した保育士の岡本さんは「身近なものから興味をもってもらえるようなきっかけ作りが大事だと思いました」と話します。また、「子どもたちの興味関心を広げていくために、多様な人と関わることのできる環境を用意することが大人の役割だと考えています。また今回のように写真を見せるだけではなく、きちんと手に持って触るなどの直接体験も大切なことと実感しました」と言います。

米の違いを真剣に見比べる子どもたち
米の違いを真剣に見比べる子どもたち

「また子どもに日本とは違う国のことを教える前に、保育者である大人がその国の事情やその国の方々のバックグラウンドを知らないといけないことが分かりました。そこで、今回は外国籍の保護者様にご協力をいただくことで、子どもも大人も一緒に学び合い、たくさんの発見や刺激を受けることができるのではと思いました。実施してみて、私たちの今後の保育にもつながるよい機会になりました」と、今回の企画の背景に込めた思いも語りました。

子どもたちと一緒に米のにおいを感じ取る岡本さん
子どもたちと一緒に米のにおいを感じ取る岡本さん

「知る」きっかけを作ることで、お互いの信頼関係を築く

最初にこの企画について聞いた時のことをお母様が振り返ります。

「私が子どものころは周りに外国の方はあまりいませんでした。そのため、見た目が少し違うだけでいじめられることもあったと聞いたことがあります。 今は外国にルーツを持つ方々も増え、街中で見かけることも多くなりました。そのような環境において子どもたちには日本以外の国があること、さまざまな人種があることを知ってもらいたいと思い、ぜひ企画に協力できればと思いました」とお話しくださいました。

今回の活動内容を試行錯誤しながら一緒に考えてくださった保護者のお二人
今回の活動内容を試行錯誤しながら一緒に考えてくださった保護者のお二人

岡本さんも、「子どもたちには、見た目が違うというだけで偏見をもつことのないように伝えていきたいと思っています。ただ、知らないことに対して怖がったり、拒否反応を示すことはあるかもしれません。もしそのような姿が見られた時に、大人はどのように対応したらよいか工夫が必要だと思います。

今回はタイという日本とは違う国を知ったことで、今後また子どもたちがほかの国の方と出会ったときに『どの国から来たのかな』と自然に興味をもって接することができるよう、今後も異文化交流に取り組んでいけたらと考えています」と語りました。

佐藤施設長もこう語りました。

「この企画を通して、コミュニケーションが大事なことだと実感しました。保護者の方と一緒に企画内容を考えることで、お互いを知り、学び合うことができたと思います。

この先、日本に暮らす外国にツールをもつ方が増えることを踏まえ、私たち保育士が子どもたちに何ができるかを考える中、やはりお互いの信頼関係を築くことがポイントだと思います。分からないからこそ不安に感じることもありますが、今回のような異文化交流の活動を通じて日々の対話につなげ、子ども、保育者、さらに保護者の方とも学び合える関係作りを大事にしていきたいと思います」と、今後保育現場にも来る多文化共生社会を見据えての目標を語りました。

岡本さん(一番左)、佐藤施設長(一番右)
岡本さん(一番左)、佐藤施設長(一番右)

「知る」から始めること、「知る」姿勢を大事にすることを通じ、どろんこ会グループでは子どもたちに多文化共生社会の未来を生きていく力を育んでまいります。

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