北千住どろんこ保育園と発達支援つむぎ 北千住ルーム 5歳児の異年齢交流をレポート

2022.09.08

#保育

北千住どろんこ保育園 発達支援つむぎ 北千住ルーム

どろんこ会グループではインクルーシブ保育を実践するため、認可保育園と児童発達支援事業所を一つ屋根の下に併設している施設を福島県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県に合計8カ所運営しています。

併設施設は日ごろどのような活動をしているのでしょうか。今回は北千住どろんこ保育園と発達支援つむぎ 北千住ルーム(東京都足立区)の様子をご紹介します。

高架下にありながらのびのび遊べる園庭
高架下にありながら、のびのび遊ぶことのできる園庭がある

保育園と発達支援の子どもたちが空間、時間を共有

北千住どろんこ保育園は定員90名の認可保育園です。

発達支援つむぎ 北千住ルーム(以降、つむぎ北千住ルーム)の定員は1日10名で、マンスリーとビジターという2つのコースに分かれています。

園内で畑仕事を行う園児とつむぎ利用児
保育園、つむぎの子どもたちが共に畑仕事に精を出す

つむぎ北千住ルームのマンスリーコースでは、1歳児から5歳児が週1日から週5日と個々の状況に応じて利用しています。お昼過ぎまでは保育園の子どもたちと共に活動する中でつむぎスタッフが支援を行い、午後には発達や特性に応じた個別のプログラムを設けています。

ビジターコースは0歳児から5歳児まで利用でき、週1あるいは週2日で個別もしくはグループでのプログラムに取り組みます。

いずれもプログラム以外の時間は部屋、園庭全ての空間を保育園の子どもたちと共有し、過ごしています。

異年齢交流で卒園児が来園

7月下旬、異年齢交流として「小学1年生と触れ合おう」という活動を実施しました。

小学1年生になって初めての夏休みを迎えた卒園児との交流を通じ、就学に希望や期待感をもつことができるようにと企画。こめ組(5歳児クラス)の子どもたちと、つむぎのマンスリーコースを利用する子どもたちが共に参加しました。

実はつむぎ北千住ルームではマンスリーコースを利用した後、どろんこ会グループが推進するインクルーシブ保育の考え方に共感され、また子どもたちの成長を実感していただけたことから、空き状況次第で保育園への入園を希望される方が多くいらっしゃいます。今回参加したつむぎの子どもたちもマンスリーコースを利用しながら保育園に入園しました。

卒園児と在園児、やや緊張気味の対面
最初の対面ではお互い緊張気味の子どもたち

卒園児の自信あふれる姿が小学校への期待を高める

久しぶりの保育園にやや興奮気味の卒園児と、期待と緊張が入り混じったような様子の5歳児たちが対面し、自己紹介が始まりました。

自信をもって自己紹介する1年生
自信をもって話す小学生の姿に保育者も成長を感じました

昨年度の幼児クラスを担当していた佐々木さんと佐藤さんが会を進行し、卒園児をリラックスさせつつ、主任をはじめ、つむぎスタッフも見守りました。

ランドセルや筆記用具を見せてもらう
5歳児はランドセルや筆記用具に興味津々

卒園児には実際に使っているランドセルや教科書、筆記用具など日ごろの持ち物も持ってきてもらい、5歳児たちはランドセルを実際に背負ってみたり、教科書を見せてもらったりしながら自由に交流し、打ち解けていきました。

恥ずかしがっていた子も質問できました
最後までためらっていた子どもも勇気を出して質問できました

続いては小学生への質問タイムです。

「学校は何時に終わりますか?」

「鉛筆は何本持っていきますか?」

「何時にご飯を食べますか?」

「どんな勉強をしますか?」

「先生は優しいですか?」

などなど、それぞれ考えてきたことを一生懸命伝えました。それに対し、卒園児は積極的に挙手して答えました。

小学生も積極的に答えました
小学生は誰もが積極的に質問に答えました

最後は一緒にりんごジュースと塩と氷を使って、まるで実験のようなシャーベット作りを楽しみました。

全力で振り回すもなかなか凍らず苦戦
全力で振り回してもなかなか凍らず苦戦中

自然にお互いを受け入れられるのが併設のよさ

今回の活動を主導した佐々木さん、佐藤さんは、「保育園に通っている子ども、つむぎを利用している子どもを特別と意識することはなく、同じクラスの仲間として受け入れています」と口をそろえます。

佐藤さんは「子どもたちは、例えば何かができないから誰かを排除するのではなく、一緒にできるようにするにはどうすればよいかを考えるようになります。受け入れることも、優しくすることも、待つことも自然にできるようになることは併設のよさかもしれません」と言います。

シャーベット作りを実演する佐藤さん
シャーベット作りを実演する佐藤さん(写真右)

佐々木さんは「発言一つとっても、積極的に意見を言うことができる子もいれば、人前で話すことが苦手な子、全く話すことができない子、いろいろいます。どんなことも無理やりではなく、その姿を認めることを大切にしています」と、活動にあたっての配慮を語りました。

子どもたち一人ひとりの様子を気にかけながら会を進行した佐々木さん
一人ひとりの様子をよく見ながら会を進行した佐々木さん

いろいろな人がいることが当たり前のインクルーシブな環境

つむぎ北千住ルームの施設長を務める奥秋さんも活動の様子を見守っていました。

「つむぎに通う子どもたちの中には、いつもと違う環境に敏感な場合もあります。今日の活動も小学生と対面して特別な雰囲気ではあったのですが、自由に活動を選択できる中でその場に一緒にいることを選んでいました。共に活動する機会があることで、友達に誘われたり、友達が取り組んでいることに興味を持つことができたり、実際に参加してみたり、おのずと活動の幅が広がるのは併設施設の良さではないかと思います」と話します。また、「障害をもたない子どもたちにとっても、いろいろな人がいることが当然の環境で育つことにより、大人になった時に偏見をもたず、例えばもし何か困っている人を見かけたら自分で何をすべきか考え、手を差し伸べられるような人に育っていくのではないかと思います」と、インクルーシブ保育が目指す姿を語りました。

つむぎの奥秋施設長も共に見守る
つむぎ北千住ルーム奥秋施設長のそばに、つむぎに通う異年齢の子どもも興味を持って集まってきました

この日、けがをしてベッドに横たわった状態で参加した卒園児もいました。ただ、その姿に誰一人驚くこともなく、卒園児も在園児も至って自然に受け入れ、普通に話しかけていました。北千住どろんこ保育園の施設長を務める宮澤さんは「けがをしている本人も自然体だし、周りの子どもたちもいろいろな人がいることが当たり前、それが普通だと受け入れることができる、それが併設で過ごした結果なのではないでしょうか」と語りました。

けがをして横たわった状態の子どもにも自然に話しかける
けがをして横たわった状態を自然に受け入れていた子どもたち

「どんな活動でもやってみなければ分かりません。もし子どもが大人が思ったような反応をしなくても、後々の経験につながるきっかけにもなります。一緒に生活し、共に経験することが大事だと考えています。そこでお互いに何を感じ取るかに意味があると思います」と宮澤さん。

どろんこ会グループが大切にしている「年齢や障害の有無に関係なく、やってみたいことも、思い通りにならないことも、全て実際に経験する」ことを実践していた北千住どろんこ保育園とつむぎ北千住ルーム。今後も併設施設の子どもたちの様子や活動を随時ご紹介していきます。

施設情報

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発達支援つむぎ 北千住ルーム

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