保育園で乳児から異文化交流を体験 メリー★ポピンズ 朝霞南口ルームの取り組み

2022.10.27

#保育

メリー★ポピンズ 朝霞南口ルーム

どろんこ会グループでは乳幼児期から多文化共生の環境作りに注力しています。子どもたちが国籍や文化の違いを直接体験する機会を設けることで、お互いのことを知り、認め合う土壌を育んでいます。

メリー★ポピンズ 朝霞南口ルーム(埼玉県朝霞市)は0歳児から2歳児までの子どもを預かっている小規模認可保育園です。今回は全園児を対象に、それぞれの年齢に合わせた異文化交流を企画しました。

商店街ツアーから生まれる異文化への興味

企画したのは保育士の栗原さんです。0・1・2歳の子どもたちに異文化を理解してもらうのはなかなか難しいと言います。それでも、普段の生活の中に実は異文化が身近にあることを少しでも子どもたちに意識してもらいたく、散歩や商店街ツアーに行く途中にいつも親切にネパール語であいさつしてくださるインド・ネパール・タイ料理店「ガズル」を訪問しました。

インド・ネパール・タイ料理店「ガズル」
インド・ネパール・タイ料理店「ガズル」

ネパールの食文化を保育園でも体験

今回訪問したのは2歳児の子どもたちです。子どもたちは事前に習ったネパール語で「ナマステ」とはきはきとあいさつをしながらお店に入りました。ネパールの離乳食をはじめ、伝統的な食事、そしてその料理に使っている食材や香辛料をネパール出身の店長に紹介していただきました。

店内に飾ってある食材や香辛料
店内に飾ってある食材や香辛料

ネパールの離乳食はひよこ豆やレンズ豆、さまざまな豆をつぶしてミルクと混ぜながら食べると言います。豆には植物性のたんぱく質や鉄分などの栄養素が多く含まれていることから、乳児期から食べるようにしているそうです。実際に使われている豆も見ることができました。子どもたちは今まで見たことのない豆の色や形に興味津々で手に取ります。

さまざまな豆に興味津々なこどもたち
さまざまな豆に興味津々なこどもたち

続いて、ネパールの伝統料理で、カレーや副菜をワンプレートにした「ダルバットトルカリ」を見せていただきました。ネパールで日常的に食べられているものをセットにし、ダルは豆のポタージュのこと、バットはライスのこと、トルカリはカレーに添えられる副菜のことを指します。そのほか、野菜の炒め物や漬物をトッピングして完成です。香辛料が多く使われているため、子どもたちは香りや色を楽しみました。その様子を見て、栗原さんは「無理やり文化を理解してもらうのではなく、普段と違うことやものから興味をもってもらえるような環境作りが大事だと思います」と話します。

ネパールの伝統食事「ダルバットトルカリ」
ネパールの伝統食事「ダルバットトルカリ」

試食することはできませんが、ポタージュに使用している6種類の豆を園内に持って帰り、0歳児・1歳児と一緒に観察し、透明な容器に入れ豆の大きさや振るときの音を比べてみました。レンズ豆、ひよこ豆、それぞれの豆がぶつかる際に発生する音が高かったり低かったりします。その音を子どもたちが楽しみながら普段あまり目にしたことのない食材を知るきっかけになりました。

豆の色や形を観察している子どもたち
豆の色や形を観察している子どもたち

そして、ネパールの食文化を見るだけではなく、子どもたちに自分で味わってほしいという思いでネパールのおやつはどんなものがあるのかを調べました。さまざまなおやつがある中で0歳児でも食べられるおやつ「ジャレビ」を全員で作りました。

ジャレビとは小麦粉と水を混ぜた生地を円環状になるように油で揚げ、砂糖のシロップをかけて食べるおやつのこと。午前中に子どもたちが生地を混ぜたり、袋に入れて成形するまでの工程を行い、調理スタッフがそれを黄金色になるまで揚げて完成です。出来上がったものをおやつの時間にいただきました。

子どもたちと一緒に作った「ジャレビ」
子どもたちと一緒に作った「ジャレビ」

この企画について栗原さんが振り返ります。

「世界地図を見せながら、自分が今住んでいる場所が日本という国で、そのほかにもたくさんの国があることを理解することは難しいと思いますが、乗り物に興味があるなら、地図を活用しながら、飛行機に乗って遠い所に行ったら違う国があることを話してみるなど、寄り添いながら子どもの思考の補助線を引いてあげることも大切だと考えています」と語りました。

坂井施設長(左)、栗原さん(右)
坂井施設長(左)、栗原さん(右)

坂井施設長もこう語りました。

「今回の活動後、自分が住んでいるところは埼玉県朝霞市と認識してくれる子どももいれば、習ったネパールのあいさつで登園してきた子どももいました。違う国があること、違う言語があることを子どもが自分で感じ取って吸収したことが伝わり、刺激にもなったのではと思いました」

6種類の豆はネパールの紹介とともに園内で掲示
6種類の豆はネパールの紹介とともに園内で掲示

「知る」から始めること、「知る」ことのできる環境構成を私たち大人が作ることで、どろんこ会グループの子どもたちに多文化共生社会を生きていく力を育みます。

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