園児たちがずんだ作りに挑戦 郷土の伝統を知り、味わう機会を大切にする若林どろんこ保育園

2022.11.10

#保育

若林どろんこ保育園

宮城県をはじめとする東北地方の郷土料理であるずんだもち。若林どろんこ保育園(宮城県仙台市)では、子どもたちにふるさとの料理を伝えたいと、ずんだ作りに挑戦しました。

おいしそうなずんだおはぎが出来上がりました
緑鮮やかなずんだおはぎ

仙台の閑静な住宅地にある認可保育園

若林どろんこ保育園は仙台市の公立保育園を民営化し、2017年に開園した認可保育園で、閑静な住宅街の中にあります。

施設長の門脇さんは宮城県出身。スタッフも宮城県をはじめ秋田県や山形県など東北出身者が多く働いています。

「若林どろんこのスタッフは年齢の幅もあり、個性豊か。それぞれの得意不得意を補い合いつつ、さまざまなアイデアを持ち寄って意見を交わし、試行錯誤しながら日々保育にあたっています。また、系列園との交流も盛んで、困った時には電話ですぐに相談したり、話を聞いてもらい、いつも助けてもらっています」と、にこやかな門脇さん。そんな話をしていると、子どもたちがいつしか自然に門脇さんの周りに集まってきました。

子どもたちに人気の門脇施設長
子どもたちに大人気の門脇施設長

直接体験が大事 異年齢が混ざり合って枝豆の皮むき

この日は朝から枝豆の皮むきです。5歳児がテーブルを囲んでむいていると、2歳児、3歳児、4歳児たちも集まってきました。年上の子が年下の子に「一緒にやろう」と座るスペースを空け、混ざって活動します。異年齢保育のよさを実感する瞬間です。

年上の子が声をかけて皆で皮をむきます
年上の子が年下の子を誘い、皆で枝豆の皮むき

むいている間、「皮がぬるっとして気持ち悪い」、「殻が変な色をしている」などなど、いろいろな声が聞こえてきます。「においをかいでみたら」と別の子からの提案に、おそるおそるにおいをかぎ、皮をむいてみるときれいな緑色の豆が出て、「大丈夫だ!」と一安心。何事も経験して、知ることができるのです。

枝豆の香りや感触に素直に反応する子どもたち
色の違いや感触に素直に反応する子どもたち

門脇さんは「ずんだは最近はスーパーでも売っているので子どもたちにとっても身近かもしれませんが、なかなかご家庭で作ることは少ないと思うので、意外と何からできているのかは知らなかったりします。若林どろんこではずんだ作りは毎年恒例の行事だったのですが、コロナ禍で2年間できませんでした。久しぶりに再開でき、子どもたちにはずんだという仙台ならではの食べ物を知ってもらいたいということもありますが、調理の過程で素材に触れることを大事にし、自分たちが手をかけて作ることでより一層のおいしさを感じてほしいと考えました」と企画背景を語りました。

子どもたちにとって身近な食を大切に

調理スタッフが準備をする間、子どもたちはずんだ作りの手順を聞いたり、枝豆のこと、ずんだのことをクイズ形式で学びました。

自分たちで畑で育てたことがあるからこそ、葉っぱの写真を見ただけで枝豆と分かる子どもたち。それが大豆になり、もやしになり、納豆や豆腐などの原料であることを知りました。

すりつぶし方を真剣に聞きます
どのようにすりつぶすのか、真剣に聞きます

いよいよ枝豆をすりつぶす工程です。調理スタッフが中心となっていろいろ調べたところ、ずんだもちは家庭によってレシピのバリエーションが豊富で、味付けには迷ったと言いますが、今回はあえてシンプルに塩と砂糖だけの味付けにしました。

今か今かと自分の順番を待ちます
皆、自分の番は今か今かと待ちます

子どもたちはグループに分かれ、一人何回つぶしてよいかのルールを取り決め、順番でつぶし始めます。すると

「いいにおい!」

「ずんだになってきたよ」

「すごくおいしそうにできた」

とあちこちで楽しそうな声が上がりました。

5歳児は掛け声をかけながら手際よく回しました
5歳児は手際よく、皆で声を合わせて回数を数えながら進めました

なかなかつぶれない、と意外に大変だった作業を終え、配膳室に子どもたちが自ら運びます。

仲良しの調理スタッフに渡します
子どもたちと調理スタッフは仲良し

調理スタッフが仕上げをして、おいしそうなペースト状になったずんだが運ばれてくると、子どもたちは自分でおはぎの上に好きなだけのせました。

自分で盛り付けます
盛り付けは自分で

縁側で大好きな友達と一緒に味わいました。自分で作ったずんだは格別だったようで、「おいしい!」と皆、笑顔。

縁側で食べるずんだは最高でした
縁側でのおやつは最高です

「やはり食というのは子どもたちの生活においてとても身近で重要なことです。子どもたちは調理スタッフとも仲が良く、これは何でできているのか、体づくりにどのように役に立っているのかを話してもらっています。きっかけはなんでもよいので、食に興味をもってもらい、今全園で力を入れている食の循環にもつなげていけるようにしたいと考えています」と門脇さんは語りました。

今はサトイモを育てている若林どろんこの園庭
若林どろんこ保育園の畑では今、サトイモが成長中

どろんこ会グループの保育園ではこのように地域性を大事にした食育を行っています。また、各園で飼育するヤギや鶏のふん、給食残渣を活用した堆肥づくりの実践、畑での野菜作り、自分たちが口にするものの食の循環を日ごろから直接体験できるような活動に取り組んでいます。

施設情報

若林どろんこ保育園

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