「子ども目線の発達支援」を目指し転職 入社2年目保育士インタビュー
どろんこ会グループでは認可保育園、児童発達支援事業所をそれぞれ単独で運営するだけでなく、この二つを同じ屋根の下に併設し、インクルーシブ保育を実践している施設を現在8箇所運営しています。
併設の場合、児童発達支援事業所「つむぎ」で働くスタッフは、つむぎを利用している子どもたちを支援しながらも、保育園のスタッフと共に全ての子どもを育てています。
今回は、つむぎ宮下ルーム(千葉県君津市)に保育士として勤務する内山さんにインタビューしました。社会人2年目で転職、併設施設というほかでは類を見ない形態へのとまどいや、発達支援の現場において保育士であることの強みなどを聞いてみました。
児童発達支援単独の事業所から認可保育園との併設施設への転職
—どろんこ会グループに入職する前のキャリアについて教えてください。
大学で社会学と心理学を専攻して児童指導員の資格を取得できたこともあり、卒業後は児童発達支援事業所に就職しました。障害児の支援に携わることになった私の原点はおそらく小学生の時の体験です。当時一番仲良くしていた友達が支援級に通っていました。私としてはその子と馬が合うから、自分らしくいることができるから一緒に過ごしていただけで、助けたい、支えたいという感覚はなかったのですが、周囲の大人から感謝されたり、褒められることに常に疑問をもっていました。その疑問から障害のある子どもたちの人生を左右するのは支援する側の意識なのではと考えるようになりました。
—就職後、新卒1年目として働きながら保育士の資格を取得したのですね。
大学で学んだ理論は頭に入っていたものの、いざ働いてみると現場で使うことのできる知識をもっていないことを実感しました。もっと具体的な学びを求め、保育士の資格に挑戦しました。
—資格取得後に転職を考えられたのはなぜでしょうか?
前職では大人と子どもが1対1の個別療育を行っていました。大人が決めた環境の中での1時間の利用だったので、それが子どもの生活に本当に結びつけられているのだろうか、子どもの自己決定はあるのだろうか、と自問自答していました。狭い空間でその日の課題をそつなくこなせれば満足してしまっている自分にも気づき、もっと子どもの目線で考えられる発達支援をしたいと思ったからです。
—どろんこ会グループとの出合いは?
まずは説明会に参加してみましたが、すぐに転職を決意したわけではありませんでした。前職でももちろん子どもたちの成長を感じていましたし、働き続けて見えることもあるだろうとも思っていました。ただ、どろんこ会グループのパンフレットや資料を見ているうちに、豊かな自然の中で子どもたちと楽しんでいる自分が少しだけ想像できたのです。また、子育てスキル講座のことも知り、多くの先生と学びを共有できそうだなという期待もありました。
—児童発達支援単独の施設から転職して、認可保育園との併設施設ではだいぶ環境が変わったと思います。当初はとまどわれたのではないでしょうか?
マンションの一室で子ども1人を見ているのとは打って変わって、広々とした園庭と園舎で大人数で生活を共に重ねていくという状況に慣れるのには時間が必要でした。実際に散歩、食事、排泄、午睡などの保育に携わり、子どもが抱えている困り感に直面しました。また、大集団の中でどういう立ち位置で子どもたちに関わっていけばよいのか悩んだり、つむぎを利用している子どもにどういう支援ができるのかを考えすぎてしまったこともありました。
—そういった悩みをどのように解決をしていきましたか?
私がモヤモヤしている時、周りのスタッフがその日うれしかったことだけでなく、できなかったこともオープンに話してくれたので、私も自分のエピソードを話しやすくなりました。悩みを自分一人ではなく他のスタッフと共有することで心がほぐれていったように思います。何よりスタッフが皆、保育を楽しんでいるというのが伝わってきて、私自身も柔らかくなることができました。自分を受け止めてもらえる職場だと感じています。
豊かな自然の中で自分の強みを生かして支援に取り組む
—つむぎ宮下ルームの魅力を教えてください。
なんといっても君津市は自然が豊富。自然はつくろうとしてつくれるものではありませんし、毎日の天気や出かける場所によって、子どもたちのやりたいこと、感じ方も変わります。一つに定まっていないものがあちこちに落ちているので、子どもはもちろんのこと、大人の興味関心も広がり、好きなものを見つけやすいと感じています。室内だけでの療育を経験してきたからこそ、戸外だからできること、部屋から出る意味を意識し続けています。
—内山さんはつむぎ宮下ルームに来てからご自身の成長を感じることはありますか?
ここではそれぞれが自分の得意な分野を生かし、苦手分野はお互い補い合っていると感じています。表現が得意なスタッフが表現遊びのコーナーをつくったり、作業療法士の資格をもつスタッフは専門性を生かして運動遊びにアドバイスをしたり、そういうのを見ていると私も自分をもっと出していいんだと思えるようになりました。
—つむぎにはさまざまなスタッフが活躍していますが、保育士だからこその強みは何だと思いますか?
私は保育士として、発達支援のスタッフと保育園のスタッフの間に立つことで役に立つことができるのではと考えています。時に発達支援の専門的な言葉は難しく、保育士や保護者の理解が追いつかない時もあります。その「分からない」や「難しさ」を共有でき、より分かりやすく伝える役割を担えるのではないかと思っています。つむぎで働く保育士だからこそ、保育園、児童発達支援双方から物事を考えられる立場にありたいと思っています。
—今後の目標を教えてください。
インクルーシブ保育を実践する中で、私自身もさまざまな人と共生していくためにお互いを知って理解を深めていくためのスキルを伸ばしたいです。またその姿を子どもたちに見せていきたいと思っています。また、周りのスタッフのように私も自身の強みを知り、発信していきたいです。自身の強みについては就職するときにもよく聞かれることだとは思いますが、社会人になってからでもどろんこ会グループでなら見つけられる、そう思いました。
スタッフの学びを応援 子育て業界の更新につなげるどろんこ会グループ
つむぎ宮下ルームの小坂施設長は内山さんの働きぶりについて「併設施設での勤務が初めてだからこそ、また、専門士ではないからこそ、保育の現場のこと、発達の専門分野のことを、他のスタッフに積極的に教えてもらいながらとても素直にいろいろなことを吸収しています」と話します。
保育園、児童発達支援、双方から学びを得て、子ども一人ひとりの育ちに関わっている内山さん。最近ではどろんこ会グループ内の子ども発達支援センターつむぎ 浦和美園にも自ら志願して研修に行きました。全国に展開するグループだからこそ可能です。
どろんこ会グループではスタッフが学び続けることを積極的に支援し、数多くの学びの機会を設けています。一人ひとりが得たものが子育てに還元され、ひいては子育て業界を更新していくことにつなげていくことを目指しています。