「保護者×保育者」大人全員一丸となって子どもを育てる保育園 守谷どろんこサポーターズの取り組み
2023.01.12
どろんこ会グループの運営する保育園には有志による任意参加の保護者組織「どろんこサポーターズ」、通称「どろサポ」があります。
どろサポでは主に家族同士のつながりづくりや、子どもと保護者にとって必要だと考えられる活動や子どもが遊び育つ環境をよりよくしていく活動を実施しています。
今回は開園2年目を迎えた守谷どろんこ保育園(茨城県守谷市)の「守谷どろんこサポーターズ」の活動を紹介、保護者に守谷どろサポへの想いも伺ってみました。
保育園を創るのは保育士だけではなく保護者も共に
守谷どろサポが本格始動したのは、開園後しばらくしてから行われた生活発表会「どろんこライフ」という行事のサポートからでした。
荒川施設長は「入園説明会の時にはまず『保育園をよくするのは保育士だけではなく、保護者の皆様もです』とお伝えしました。その後行事のサポートをお願いしましたが、『何をしたらよいですか?』という質問には『子どもたちのため、ご自身のために何をしたらよいかぜひ考えてみてください』とお話ししました」と振り返ります。
どろサポの発案でメンバーの自己紹介を掲示したり、参加するきっかけを書いたメモをファイリングしたりし、徐々にどろサポメンバーは増え、今や53人が登録する大所帯となりました。活動も行事のサポートにとどまらず、園庭の草むしりや清掃など環境整備にも拡がりました。
保育園をきっかけに新たなつながり、視点を生み出す
守谷どろサポの会長は幼児と乳児それぞれから立候補いただき、2人体制で運営しています。会長を務める小宮山様と宝田様にお話を伺いました。
—なぜどろサポに参加しようと思われたのでしょうか?
小宮山様:これまでにほかの保育園を2園利用したことがありますが、保護者同士のつながりから生まれる価値も大きいと感じていました。大人が仲良くなって子どもたちの模範となるような取り組みができれば、人生が豊かになると考えています。保育園をきっかけに新しいつながりができ、発見があり、地域が豊かになれば楽しいと思い、参加しました。
宝田様:一つは子どもが日常を過ごす環境を自分の目で見て知りたい、知り続けられる環境に自分を置きたいというのがありました。もう一つは自己成長のためでもあります。知らない世界を見て視野を広げ、人とつながることで、自分にない視点やスキルの不足にも気づくことができると思います。
—荒川施設長からは次々に新しいアイデアが出てくるどろサポと聞いております。今どのような活動を検討されていますか?
小宮山様:園庭での食事会やバーベキュー、食に関する相談会、勝手かごの本バージョンなどなど、メンバーからたくさんの意見をいただいています。まずはつながりを深めながら検討していきたいです。
宝田様:守谷どろんこの圧倒的な土地の広さを活用しての遊びの提案や、消防車展示など地域との連携などのイベントも実現できたらと考えています。
子どもを守るための学びを深めた講習会
そんなさまざまなアイデアの中から生まれた活動の一つとして、昨年11月には小児救命講習会が開催されました。外部講師を招いての有料の会の実施は、守谷どろサポとしては初の試みです。
当日は保護者約30人が参加し、日本赤十字社茨城県支部の方から「一次救命措置」と「気道確保」の仕方を学びました。
乳児・幼児それぞれに合わせた心肺蘇生、気道確保の方法を具体的に解説いただきました。また、喉に物を詰まらせてしまったときの対処法、AEDの使い方なども教えていただき、保護者も自身のお子様を想定しながら実践的な学びとなったようです。
企画から進行、振り返りまで保護者主体で実施
講習会後、今回の企画の立案背景について、中心となって準備を進めてこられた高橋様と、守谷どろサポの会長を務める小宮山様と宝田様にお話を伺いました。
—今回なぜこのテーマを選ばれたのでしょうか?
高橋様:子どもたちを危険から守るためにどうしたらよいかと考える中でたどり着いた企画です。当初は護身術レッスンも考えたのですが、市役所で日本赤十字社の救命講習のチラシを見つけ、「救命処置を知っていれば子どもたちを守ることができる」と思い、提案しました。
—実施してみてのご感想は?
高橋様:動画で見るよりも実際その場でお話を聞きながら実践でき勉強になりました。ただ、企画担当者として段取りなどについては反省点があります。今後に生かせるよう、皆さんに情報共有をしたいと思っています。
宝田様:完璧にできるかどうかよりも、こういう経験ができ、何かの際に生かせる環境ができたことがよかったと思います。
小宮山様:初めての試みでしたが、関心度が高かったと思います。万が一が起こった時、このような講習を受けているか受けていないかでは違うなと感じました。来年度、新しく入園される方がいらっしゃることを考えると、年に1回実施してもよいのではないでしょうか。
このあと、「途中、一緒に参加していた子どもが飽きてきていたので、場面が切り替わるタイミングで子ども向けのイベントをしてもよいかもしれない」「振り返りのために参加者にヒアリングをしましょう」など、次に向けての話し合いが早速始まり、守谷どろサポの熱量を感じた一幕でした。
誰もが参画し、協働できる場を創る保育園を目指す
守谷どろんこ保育園の荒川施設長も「私は子育てにより多くの人が『参画』できる機会を創りたいと思っています。単発の行事のサポートをしていただくだけで終わるのではなく、日ごろのコミュニケーションを通じ、『預けるー預かる』だけの関係ではなく、『共育て・共育ち』のパートナーとして、保護者と保育園が対等な関係性を積み上げていくことが大切だと思っています。誰もが何かしらの形で貢献でき、協働できる場を創り、園に関わる全ての人が豊かになるとよいと思っています」と、どろサポへの熱い思いを持っています。
最後、会長のお二人に、今後保育園とはどのような関係を築き、どのようなことに挑戦してみたいかを伺いました。
宝田様:全ての子どもたちが幸せに、豊かになることを保育園との対話の目的とし、一部のサポーターズや園スタッフだけでなく、皆で取り組んでいければと願っています。
小宮山様:保育に参画することが大切だと思っています。親子が楽しいことに取り組みながらつながりが生まれ、日々の生活が少し楽しく、豊かになればと考えています。いずれはどろんこ会の他園のサポーターズとつながるのはどうでしょうか。各園独自の遊びや地域ごとの違いなど、それぞれカラーがあると思うので混ざり合ったら面白いと思います。
小宮山様、宝田様の言葉からも荒川施設長と同じ想いが伝わり、同じ方向を見て子育てを共にしていることが感じられました。
このようにどろんこ会グループは保育者と保護者が共に子育てをしていく保育園を目指しています。