「知る」から始める乳児期からの異文化交流 東京都認証保育所メリー★ポピンズ 豊洲ルームの取り組み
2023.02.02
どろんこ会グループでは乳幼児期から多文化共生の環境作りに注力しています。子どもたちが国籍や文化の違いを直接体験する機会を設けることで、お互いのことを知り、認め合う土壌を育んでいます。
今回は東京都江東区で運営する東京都認証保育所、メリー★ポピンズ 豊洲ルーム(以下、豊洲ルーム)が取り組んだ異文化交流の様子をお伝えします。
2歳児の「知りたい」から異文化への興味につなげる
豊洲ルームは定員34名で0歳児から5歳児までをお預かりしていますが、0歳児から2歳児までが定員の大半を占めており、日本国籍だけでなく外国籍のお子様にも多くご利用いただいています。
日ごろの保育環境においてもさまざまな文化に触れる機会のある子どもたち。とはいえ乳児の時期にどのような異文化交流を行えばよいのか、悩ましいところでした。
施設長の石原さんは「2歳児は言葉のやり取りも盛んになり、好奇心もますます旺盛になり、いろいろ『知りたい』の気持ちが大きい時期です。そこでまずは知らないことを知ってみようというスタンスで取り組むことにしました」と話します。
担当したのは入社1年目で行事の責任者を初めて経験する入山さんです。
入山さんの友人で日本の小学校で教員経験もあり、現在はカナダと日本を行き来しているというアンディ・バテラさんに協力を依頼し、カナダ滞在中にオンラインでつないだ交流と、来日時の対面での交流という2回に分けた異文化交流体験を企画しました。
アンディさんは日本人のお母様とチェコ出身のお父様の間に生まれ、小学3年生まで日本で過ごした後にカナダで生活をしてきました。家庭では日本語と英語の両方でコミュニケーションをとってきたため、当日も子どもたちとは日本語を主とし、時々簡単な英語を織り交ぜて会話をしました。
共に遊び、違う言語を自然に発する子どもたち
1回目のオンライン交流は、スタッフも子どもたちも初めての試み。「どうなることかと思いましたが、子どもたちは恐れることもなくすんなりと画面越しにやり取りができました」と石原さん。入山さんも「オンライン交流も事前に家で英語を覚えてきて積極的にかかわってくれた子もいて、違う国や言葉に触れるきっかけづくりになったのではと思いました」とほっとした様子で話します。
交流時、日本はお昼前でカナダは夜。日本はまだ残暑で暑い一方、カナダは涼しいと、時間や気候の違いを伝え、子どもたちの「なぜ違うの?」という気持ちを大切にしました。
そしていよいよ対面での交流の日。アンディさんからの「ハロー」の挨拶に、英語で返す子どもたち。最初はお互い緊張気味でしたが、「飛行機で9時間かかって飛んできました」と地球のボールで示しながら説明するアンディさんに思わず子どもたちからは「遠い!」と驚きの声が出ました。
少しでも子どもたちに分かりやすくカナダについて伝えようと、カナダで身近に暮らす動物を紹介したり、日本の子どもたちと同じように鬼ごっこやかくれんぼをして遊ぶこと、その時に外には普通にリスやアライグマが身近にいることを話したりと、写真を見せながら話すと子どもたちも写真を食い入るように見つめていました。
その後アンディさんと子どもたちは一緒にリズム体操をしたり、折り紙をしたり、カナダと日本の国旗を見せながら紙飛行機を飛ばしたりしている間に、すっかり打ち解けていきました。
散歩にも出かけ、子どもたちは「ここでヘビを見たことがある」「魚がいる」など、自分たちが知っていることを一生懸命教えます。あいにく雨が降ってきてしまいましたが、日本語の中に時々英語も教えてくれるアンディさんが「レイン」と言えば、子どもたちも真似します。自然と違う言語にも触れることができました。
子どもたちにプラスになる保育活動の継続を
交流を終えたアンディさんに感想を伺うと、「子どもたちが興味をもって接してくれてとてもうれしかったです。やはり直接対面で触れ合うと思い出にも残ります。私はバンクーバーに暮らしていますが、インド人、中国人、韓国人などさまざまな国籍の方が近くにいて、外国の人がいるのは当たり前でした。一方、日本だと外国籍の方が多くないので、特別扱いをされていると感じることも少なくありません。今回のように幼いころから違う国の人と触れ合う体験を通して、外国の人がいることが当たり前に感じられるようになるとよいと思います」と、ご自身の実体験と重ねながらお話しくださいました。
入山さんも「こうした体験が子どもたちのプラスになると思うので、今後も継続していきたいです」と語り、また石原施設長も「今日の子どもたちの姿を見て、私たち保育者も外国の方に対してこちらから相手のことを知ろうと働きかける姿勢が大事だということをあらためて思いました。今後は外国籍の保護者様のご協力も得ながら、今回の体験をつなげていきたいと思います。子どもたちの異文化に対する興味を自然に広げていくことができるよう、例えば国旗の絵本を置いたり、アルファベットを見せたりするなど環境の準備もしたいと思います」と話しました。
施設情報
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