園長に聞いてみたvol.1 「慣れ保育」って何?~親子共に保育園生活に慣れるために~

2023.05.11

#保育

メリー★ポピンズ 成増ルーム

4月に保育園に入園し、初めてのことばかりでとまどったり、泣いたり、疲れたりといった親子も多かったのではないでしょうか。1カ月が過ぎ、保育園生活に少しずつ慣れたところで大型連休に入ると入園直後の状態に逆戻り、というのはよく聞く話です。

この4月、5月は子どもも大人も保育園での生活に慣れることに精一杯。そんな時、「慣らし保育」という言葉を目にしたり耳にしたりすることも多いのではないでしょうか。

どろんこ会グループでは「慣らし保育」とは言わず、「慣れ保育」と呼んでいます。また、この「慣れ保育」を必須ともしていません。

今回は「慣れ保育」の実際について、メリー★ポピンズ 成増ルーム(東京都板橋区)の朝重施設長にインタビューしました。

成増ルームの朝重施設長
メリー★ポピンズ 成増ルームの朝重施設長

大人主導の「慣らし保育」ではなく子ども主体の「慣れ保育」

—「慣らし保育」と表現されることも多いと思いますが、どろんこ会グループではなぜ「慣れ保育」と呼ぶのでしょうか?

「慣らし保育」というと、大人主導で子どもを「慣らし」ていくというとらえ方になります。どろんこ会ではあくまでも子どもを主体とし、子どもが園生活に「慣れ」ていくという認識をもっているからです。保育業界では「慣れ保育」と表現する園も増えてきていると思いますが、逆に保護者の方から「慣らし保育」と言われることはまだ多いように感じています。

保護者と離れる瞬間は泣いてしまいます
4月、保護者と離れるのが寂しいのは当たり前

—どろんこ会グループでは「慣れ保育」を必須としていないのはなぜでしょうか?

慣れ保育が必要かどうかは、保護者様によくヒアリングして家庭の状況や子どもの様子に合わせ、個々に決めているためです。必須でないことに驚かれる保護者の方も多く、「慣れ保育のために仕事を調整しなければならないと思っていた」とおっしゃる方もいます。

保護者に安心していただけるようお預かりします
寂しい気持ちもしっかり受け止め保育に入ります

コロナ禍以前は初日からフルタイムで復帰される方も多かったのですが、コロナ禍以降、祖父母とも疎遠になってしまったり、児童館などにも行くことができなかったりで、家族以外の人に預けたり交流したりという経験がない方が増えました。そのためか「自分以外が対応すると泣き止まないんです」と言われる方も多くなり、保護者の方自身が子どもと離れることに不安を感じていることが見受けられるようになりました。そういった不安をくみ取りながら、各家庭の状況に応じてスケジュールを立てるようにしています。

母乳、離乳食、睡眠 全ての不安を受け止めます

—慣れ保育で特に配慮していることはありますか?

最初の1週間は家庭での生活リズムに合わせて過ごすようにしています。特に月齢が低いと早い時間から眠くなってしまったりもします。食事も決まった時間に始めるのではなく、様子を見ながら一人ひとりのペースに合わせます。

どろんこ会グループでは朝から戸外活動をしっかり行っています。入園直後は出発時間も園に戻る時間も個別対応にはなりますが、太陽の光を浴びて過ごしていると生活サイクルがだんだんと定まってくるのです。

散歩に出れば笑顔です
朝、泣いていた子も外に出て気持ちが切り替わりました

—母乳やミルク、離乳食について心配される保護者の方も多いのではないでしょうか?

冷凍母乳の場合は取り扱い項目が細かく決まっているので、スタッフ間の伝達をしっかり行うようにしています。

離乳食については大きく初期、中期、後期と分かれますが、後期寄りの中期というように段階はもっと細かく分かれると思います。そのためその子の食べる意欲がどうなのか、食べ物をかみ砕いたり、飲み込んだりする様子もしっかり見た上で判断し、徐々に切り替えるようにしています。ご家庭で試したことのない食材については慎重な保護者様も多いので、園でどのような食材が出るのかをきちんと共有し、それまでに試していただくようにお伝えしています。

初日の食事は特に気になると思いますので、お迎えの際に食べている様子の写真を見せてお話しするようにしたり、その子を特によく見ている保育士が説明するなど、保護者様とのパイプ作りを大切にしています。

個々の成長に合わせ離乳食を進めます
食べる意欲を見ながら離乳食を進めます

—保育園で眠れたかどうかも気になるところかと思いますがいかがでしょうか?

無理やり寝かせることはせず、遊びの様子を見ながらあくびをしたタイミングや眠そうなそぶりを見せた時に布団に誘ってみるようにします。ご家庭から「なかなか昼寝をしない」と聞いている場合は、長めに遊べるように調整することもあります。

ただ、体を休ませることは大事なのでタイミングを見逃さないことが大事です。保育園には眠くなったタイミングを見逃さない、入眠サポートのプロがいます。成増ルームにも、例えばおでこや足をさするなど、こうすると眠りにつきやすいというポイントを見つけるのがとても上手なスタッフがいます。安心してお任せいただければと思います。

ミルクを飲んで午睡に向かいます
ミルクを飲んで午睡に向かいます

—預ける時に子どもが泣いてしまうとつらい気持ちになる保護者の方もいらっしゃるかと思います。

初日は状況が分からず泣かなかったのに、徐々に「ここに来るとお父さんお母さんと離れてしまうんだ」と分かり、行きたくなくなったり、泣いてしまったり、というのが見られることがあります。

ただ、子どもは自分で切り替えられるようになります。また、朝から戸外活動に向かうこともよい気分転換になっていると思います。外に出て風を感じたり、さまざまな発見をしたりできることを子どもたち自身も理解してくるので、しばらくすると「黄色い帽子をかぶれば外に行けるんだ」と、自ら帽子をかぶる様子が見られるようになります。

保護者様にとっては子どもが泣いている様子を見たままだとつらい気持ちを引きずってしまうと思いますので、そのあとに遊んでいる様子をアプリのタイムラインに共有するようにしています。また、アプリではどのくらいご飯を食べたのか、眠れたのか、というのもオンタイムで分かるため、それも安心材料になっていると思います。

帽子をかぶれば散歩に行くことができます
帽子をかぶって散歩の準備をします

保育園での集団生活が始まると心配なケガや病気

—集団生活が始まると、発熱、下痢などさまざまな病気にもかかりますね。

やはり免疫がないため、病気にかかることは避けては通れないとは思います。お預かりした後に発熱した場合、37.5度に達した際にお電話をいたしますが、発熱していなくても様子がいつもと違う場合は、早めにアプリで連絡帳をお送りして保護者の方に共有するようにしています。例えば今日しか病院に連れて行くことができないといった事情もあると思うからです。全てにおいて細かな確認とコミュニケーションが大切になります。

保護者とのコミュニケーションを大切に
お預かりの際、お迎えの際の保護者の方との会話が大切

—園生活に少しずつ慣れてくると、ひっかきやかみつきなど子ども同士のトラブルも想定されると思いますがいかがでしょうか?

ひっかきやかみつきは園としては未然に防がねばならないことなので、スタッフの配置確認を徹底し、スタッフ間の意識の共有とチームワークでの見守りを大事にしています。子ども一人ひとりの個性を理解し、その日の心情や状態を共有しながら、どういう動きをするか臨機応変に動いています。ひっかきについてはスタッフ側の対応に加えて、爪の確認も必須です。切ったあとにやすりをかけているかどうかもポイントになります。

異年齢で兄弟姉妹のように過ごしています
皆兄弟姉妹のように過ごしています

ただ、集団生活において、またその後の社会生活を鑑みても、他児とのやりとりを経験することは必要です。思い通りにならないことを経験しながらも、他者と協働していくことは成長において大切なので、保育者は見守りながらも手を出しすぎない、何か起きそうなときに即動けるようにするという体制を整えています。

—まだ始まったばかりといえる保育園生活、これからスムーズに進めていくための保護者様へのアドバイスをお願いします。

最初は保育園に登園できただけですごいことだと思います。また、ゴールデンウィークの長期の休み明けで生活サイクルが元に戻ってしまうこともあるかもしれませんが、急ぐことなく、ゆっくり慣れていけば大丈夫です。

子育てにおいてもし悩みがあれば、ささいなことでも保育者に話していただければと思います。一緒に成長を喜べるよう、共育てをしていきましょう。もし保育者が忙しそうにしていたら連絡帳に入力していただくのもよいと思います。また、どろんこ会グループの保育園はいつでも個人面談を受け付けているので、ぜひ活用していただきたいと思います。保育参加も大歓迎です。慣れてきたころに保育者の動きも見ていただけるとより安心していただけるのではないかと思います。

施設情報

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