どろんこパーソンに迫る!vol.4 志木どろんこ保育園の梶田さん
2023.06.01
どろんこ会グループの理念である「にんげん力。育てます。」
子どもにその力を育むためには、保育に携わる全ての大人こそが「にんげん力」をもっていなければなりません。
どろんこ会グループは全国約150箇所の施設を運営し、スタッフの数は約2000人に及びます。多彩なバックグラウンドをもつ一人ひとりが、さまざまな人生経験を糧に、その背中を子どもたちに見せながら、子育てに取り組んでいます。
そんなスタッフ一人ひとりのストーリーを伝える「どろんこパーソンに迫る!」連載第4回で紹介するのは、志木どろんこ保育園(埼玉県志木市)で働く梶田さんです。
中学校の職業体験が保育士を目指すきっかけに
梶田さんは埼玉県坂戸市出身。ご両親も埼玉県出身で、埼玉が発祥のどろんこ会グループとの縁を感じます。
好奇心旺盛で自然が大好きな子どもだったという梶田さん。幼稚園の時には遠足に行った際に勝手に川に入って先生を驚かせたことがありました。
小学生になってもよく外で遊び、花の蜜を吸うのがお気に入りだったそう。
「最近息子から『ほとけのざの花の蜜がおいしいからずっと吸っていた』という話を聞き、血は争えないと思いました」と笑います。
中学校、高校も坂戸市で過ごし、吹奏楽、ソフトテニスにハンドボール部のマネージャーと、部活に勤しむ日々。その中で梶田さんの将来を決定づけた出来事は中学校の職場体験でした。
「友達と一緒に保育園に行き、子どもたちと手遊びをしたことが記憶に残っています。高校は外国語科に進み、子どもに英語を教えたいと思っていたのですが、残念ながら英語の才能には恵まれませんでした。ただ子どもと関わりたいという部分はぶれなかったので、その分野に進むことを決めました」と振り返ります。
高校卒業後は幼児教育の専門学校に進みました。
「進学のタイミングで母が突然保育園で働き始めたのです。それまでは専業主婦だったので驚いたのですが、人と同じ道を選びたくない、楽しいことが大好きな母らしいなと思いました」
その後お母様は20年以上保育園で働き、まさに親子二人三脚で保育の道を歩んできました。
保育園の新規開園を二度も経験
2年間の勉強を経て、埼玉県朝霞市内の保育園に実習に行き、内定も決まっていた梶田さん。ところが就職相談室で偶然、朝霞どろんこ保育園(埼玉県朝霞市)が新しく開園することを知りました。
「オープニングスタッフということに魅力を感じて施設見学に行ってみると、自然の中にヤギがいてのびのびと保育ができることに心ひかれました」と。試しに面接を受けたらとんとん拍子に話が進み、どろんこ会への入職が決まったのです。
当時の朝霞どろんこ保育園の2階は本社事務所も兼ねており、安永理事長と高堀代表と共に働く日々を過ごしていました。
「お二人はいつもフレンドリーに話しかけてくださり、時には食事もご一緒してなれそめを聞いたこともありました」と懐かしそうに振り返ります。
入職直後は新卒で右も左も分からない中、目の前の保育に夢中でしたが「朝霞どろんこで担任をもっただいず組(3歳児クラス)の子どもたちとの思い出こそが私の保育の原点です」ときっぱり。
「楽しい時は一緒に笑い、悲しい時は一緒に泣き、発表会が成功した時は抱き合って喜び、今でもきずなを感じています。私の結婚式にも来てくれたり、バーベキューやサッカーに誘ってくれたり、交流が続いています。そろそろどろんこ会に就職する子もいるのではないかとドキドキしています」その話しぶりからも子どもたちへの温かい想いが伝わります。
その後、2010年に開園した日高どろんこ保育園(埼玉県日高市)の立ち上げのため異動し、再びオープニングスタッフとして勤務することになりましたが、ここで壁にぶつかりました。歴史の浅さゆえ、手本となる先輩保育士が少なかったことに悩むようになったのです。
「日高どろんこ保育園では入職1年目のスタッフが多く、私はといえば4年目で人に教える経験がなかったので、どのようにまとめていけばよいのか暗中模索の状態となりました。 実は私の夫も保育士で、公立保育園で働いています。夫からは『公立にはベテランの立派な先生がいる』という話を聞いていたので、ほかの園も見てみたいと思うようになりました。新規立ち上げの園では自分たちが思うように楽しく物事を進めることができたのですが、自身が成長するために学ぶべき先人がいないと当時は思ったのです」。新しい世界に飛び出す決意を固め、公立保育園に転職しました。
どろんこ会を退職し公立保育園へ
どろんこ会グループの保育園とは「真逆だった」という公立保育園。梶田さんは学びを深めながらも挫折も味わったと言います。
「公立保育園では何よりも社会人としての姿勢を教えていただきました。どろんこ会ではスタッフがフラットな関係でいられましたが、公立保育園は上下関係も厳しかったからです。ただ、厳しすぎて自分の意見を言うことができなくなってしまい、質問をしてよいのかどうかも分からなくなり、コミュニケーションをうまくとれなくなってしまったのです。 保育においてはねらいや必要な配慮、子どもとの関わり方など事細かく記録する必要があったのでたくさんの気づきや学びがあったのですが、子どもたちと『こんなことをしてみたい』というのがあっても、危険だからできないなどと却下されることも多くありました」と語ります。
悩みながらも公立保育園で10年間勤め上げましたが、ライフスタイルを見直すタイミングで退職を決意。
「家族の時間をなかなか取れないことに悩んでいて、息子の小学校入学を控え小1の壁にぶつかることも想定していました。園長に相談してみましたが、時短勤務を使っている職員はいないこと、正規職員である以上早番遅番は免れないという話だったため、より働きやすい職場はないだろうかと考えていました。
そんな時に思い出したのが、育児休暇中に子育てサークルで出会った同じ保育士の方の話でした。3人の子どもを育てながら三原どろんこ保育園(埼玉県朝霞市)で働いているが、固定時間や短時間勤務といった多様な働き方が認められているから、働き続けられるのだと聞きました。思い切って原点に戻りたい、そう思いました」。そして再びどろんこ会の扉をたたいたのです。
どろんこ会に再入職。外での経験と学びを還元
再入職後は志木どろんこ保育園で働き始めた梶田さん。戻ってきてまず最初に感じたのは「園内の雰囲気の明るさ」でした。
「園会議もリラックスしていてざっくばらんに言い合えて、人柄のよさがあふれていて話しやすい。フラットな関係は変わっていないと安心しました」と笑顔で話します。
梶田さん不在の2011年からの10年間は、どろんこ会グループは全国に100施設を超える規模となり、法人として大きく躍進しました。2000人に及ぶスタッフをまとめ、子どもの安全を守るためのマニュアルを整備し、保育の質を上げるためにスタッフが学び成長できるための環境をこつこつと創り上げてきた時期でもあります。
梶田さんが「以前働いていた園にはなかったようなハザードマップもあり、スタッフがルールを守って行動できるようになっていました。また、研修が充実し、サポート体制があるので学ぶ機会が増えたと思います」といった変化を感じたことは、法人が積み上げてきた10年間の成果に一致すると言えるのではないでしょうか。
今では幼児クラスのリーダーとしてスタッフをけん引する立場にある梶田さん。
「保育の世界はここだけではなく、さまざまな人、さまざまなアプローチがあること、そして保育に対する姿勢がどうあるべきかをほかのスタッフに伝えるようにしています。子どもたちに数多くの直接体験の機会を創っていることはどろんこ会のすごいところだと思うのですが、それを実施するスタッフの質が何よりも大事だと思います。なんとなく取り組むのではなく、何のためにその活動をするのかをきちんと伝えることが大事だと話しています。そして特に新卒のスタッフには社会人としての基本、それこそあいさつや感謝の気持ちを伝える大切さは折に触れ教えています。子どもを育てる私たち大人こそが、社会で生きるうえで基本的なことをきちんとできていないといけないと思います」と、かつての自身の悩みや前園での経験をフル活用し、どろんこ会グループに還元しています。
そんな梶田さんに今後挑戦してみたいことを聞いてみました。
「保育では、子ども一人ひとりの声をきちんと聞き、その想いを受け止められるようになりたいです。また、障害のある子どもについての学びを深めたいと思っています。コミュニケーションに難しさを抱えている子どもに対してどう対応すればよいか分からない時がありました。自分に知識がないことで苦手意識をもってしまったので、全力で受け止めるためにはさらに勉強しなければと思っています。将来的には、子どもだけでなく保護者の方を助けられるような子育て支援センターでも活躍できたらと思っています」と、少し照れながらも語りました。
今回は一度どろんこ会グループから外に飛び出し「にんげん力」を高め、再び活躍の幅を広げているスタッフを紹介しました。
引き続き全国のどろんこパーソンに迫ります。次回もお楽しみに。
施設情報
関連リンク
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