どろんこ会の「子育ての質を上げる会議」は若いリーダー保育士の成長の場

2023.07.13

#保育

メリー★ポピンズ 稲城ルーム メリー★ポピンズ 稲城ルーム分園 全施設

どろんこ会グループでは法人全体の保育の質の向上のため、エリアごとに分かれ「子育ての質を上げる会議(通称:質上げ会議)」を定期的に開催しています。参加対象は各施設を変える意欲と力のあるスタッフ。リーダー層や主任を中心に、若手スタッフも挑戦しています。

昨年度、新卒2年目ながら質上げ会議に参加したメリー★ポピンズ 稲城ルーム(東京都稲城市)の辻本さんに、会議の様子や得られた学びについて聞きました。

質上げ会議の様子
さまざまな施設のスタッフが集まって行う質上げ会議

子どもの発達の過程を理解するために「10の姿」を学び事例を共有

メリー★ポピンズ 稲城ルームのある東京・神奈川エリアでは、昨年度の質上げ会議で「保育所保育指針」に示されている「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」(10の姿)をテーマとし、学びを深めました。

10の姿
幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿

保育士が子どもの発達の過程を理解し、正しい保育計画を立てられるようになるためには、10の姿をきちんと理解することが必須です。

会議は4月から毎月行われ、スーパーバイザーや施設長による10の姿についての講義を受けたのち、グループに分かれて各施設の現状を振り返り、ディスカッションを通じさまざまな意見交換を行います。そこで自園の課題を見つけ、解決するにはどうしたらよいかを園会議に持ち帰ります。課題解決のために実践したことをポートフォリオ(写真で子どもの育ちを記録したもの)にまとめ、次の会議で共有します。いろいろな園のスタッフが集まるため、他園の事例を知ることができる貴重な機会です。

「保育士としての経験値を上げたい」新卒2年目保育士の挑戦

辻本さんは入職後、乳児クラスを担当していましたが、子どもとの関わり方に迷ってもすぐその場で他のスタッフからアドバイスをもらうのが難しく、悩みをため込んでしまっていました。

「一日を精一杯終えるだけの日々だったので、きちんと深く保育を学べていませんでした。自分の保育士としての経験値を上げていきたいと思い、質上げ会議に参加することを決めました」と振り返ります。

稲城ルームの保育士、辻本さん
メリー★ポピンズ 稲城ルームの辻本さん

しかしいざ参加してみると壁にぶつかりました。

「さまざまな園の保育のエピソードを聞くことができましたが、他園と自園の子どもでは全く違うので、参考にするといってもそのまま当てはめることもできません。また、当時は0歳児から2歳児を預かるメリー★ポピンズ 稲城ルーム分園にいたため幼児クラスのことが分からず、10の姿からさかのぼって乳児の体験とどのようにつなげていけばよいのか、最初は理解することが難しかったです」と、少し悔しそうな表情を見せながら話します。

乳児クラスの子どもたちと遊ぶ様子
乳児クラスの子どもたちと過ごす

さらに会議で学んできたことを自園に持ち帰りスタッフに共有するにも、理解できていないことはなかなかうまく伝えることもできません。そのため最初はひたすらエピソードをメモに取り、先輩に質問して積極的なコミュニケーションに努めたという辻本さん。すると自園の保育のやり方に固執していたことに気づき、「いろいろな人の意見を聞くことができ、よい刺激を受け、視野が広がりました」と明るい表情で語りました。

また「保育士を辞めたいと悩むスタッフに対応するロールプレイング研修の際に『共感しながら納得いくまで一緒に考える』という先輩の対応の仕方がとても参考になりました。私も抱え込んでいた悩みを他のスタッフと共有し、子どもの姿を話し合いながらコミュニケーションを深め、共感をもって話すことを意識するようになりました」と、子どもとの関わり方だけでなくスタッフ同士の関わり方にも好影響が出たと言います。

子どものことを考え続け、保育の質を上げていく

1年間の質上げ会議の集大成として2月には「10の姿の学びを伝える会」を開催することになりました。参加者の中から10人が立候補して発表するというもので、辻本さんも手を挙げました。

オンライン発表の様子
発表はオンラインで行いました

「これまで人前で保育についてうまく話すことができなかった反省を踏まえ、挑戦してみようと思いました。10の姿の中でも乳児クラスで伝えきれていなかった『数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚』を取り上げることにしました。実はこの姿は幼児のものだという思い込みがあったのですが、いつも散歩の時に行っている人数確認を真似する子どもの様子や、時計の針の位置をよく見ている2歳児を見て、きっかけさえつくれば子どもたちの興味関心をひくことができることに気がつきました。私の意識の変化、つまり保育における人的環境の大切さを実感し、自分が保育でどのような言葉がけや行動をしたかの実践を発表しようとプレゼンに臨みました」。当日は緊張で声も震えましたが、ベテラン、先輩保育士を前に自分が実践したことをしっかりと発表できました。

辻本さんの発表を見守っていた、読売ランド前どろんこ保育園(神奈川県川崎市)の松久保施設長は、「会議が始まった当初は不安が大きく泣いて電話をかけてくることもありました。だから辻本さんの立候補には驚きました」と振り返ります。

読売ランド前どろんこ保育園の松久保施設長
若い保育士を温かく見守る松久保さん

「辻本さんは要所要所で分からないことを質問をして周囲に協力を求め、苦しみながらもあきらめず会議に臨みました。ここで学んだことを自園に伝えることができたのは素晴らしいことだと思います。

以前、汐見稔幸先生に理想の保育士像について伺ったことがあります。先生は『スキルや知識、経験も大事だけれど、その時の対応が子どもにとって一番よかったのかを考え続けられる保育士が一番理想的だ』とおっしゃっていました。だからこそ、辻本さんが悩んで、一緒に考え続けられる仲間になれたことが本当に良かったと思っています」と振り返りました。

どろんこ会で活躍する若手保育士
さまざまな会議や研修を経て成長する若手保育士たち

どろんこ会グループで働くスタッフの4割強は20代と若い層が占めています。皆、入職前に学校で学んできていますが、「保育は実践が8割」と松久保さんも言う通り、子どもは一人ひとり個性も育ちも違い、日々変化し成長し続けているからこそ、机上で得た知識や技術だけで保育の質を上げることはできません。

松久保さんは「いろいろな保育観をもったスタッフが話し合える集団こそが保育の質を上げることができると思います。この会議で学んだことを実践して子どもが育っていくやりがい、保育の醍醐味を知って、ずっと保育を続けてほしいと思います」と期待を込めました。

どろんこ会グループのスタッフはベテラン保育士の力も結集し、現場の知見を持ち寄ることで、若いスタッフの育成に力を入れ、保育の質の向上に努めています。

施設情報

メリー★ポピンズ 稲城ルーム

メリー★ポピンズ 稲城ルーム分園

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