給食の食べ残し、どうしてる? 管理栄養士が取り組む保育園での食育と環境教育

2023.09.14

#保育

メリー★ポピンズ 南砂ルーム

どろんこ会グループでは子どもたちに食材や食の循環、環境への意識を育む環境教育に力を入れています。

今回はどろんこ会グループ全体の「食」を支える食育プランナーとして活躍する澤本さんに、食を通じた環境への取り組みについてインタビューしました。

食育プランナーの澤本さん
メリー★ポピンズ 南砂ルームの澤本さん

食育に力を入れるどろんこ会 各地で食育プランナーが活躍

澤本さんは管理栄養士の資格を取得し、2014年にどろんこ会グループに入職。

「もともと保育に興味をもっていたので、保育園での就職を目指す中、どろんこ会ほど食にこだわって保育をしているところはなかなかありませんでした。また、直接体験を通じて子どもたちに食を伝えていくという考えにとても共感して、どろんこ会に応募しました」と振り返ります。

共に食べ、子どもたちの食事の進み具合も見る

入職4年目に食育プランナーに任命された澤本さん。食育プランナーとは、法人全体の食や調理の質の向上を目指し、エリア内の保育園で給食業務や食育が適切に行われるように園のサポートをしたり、衛生面の指導を行うなどの役割を担います。

各園の給食や食育をサポート
食育プランナーは現場の配膳の様子なども確認

澤本さんは「自園だけでなくほかの園と交流したり話し合ったりすることで、情報が広がり、広い視点でどろんこ会グループの食を考えられるので、グループ全体のためになる責務だと感じています」と話します。

給食の食べ残しをどうしたら減らせるか?

食育プランナーはエリアごとの食育会議や、グループ全体で行う食育プランナー会議など食に関わる会議に参加し、食事環境や献立内容から畑仕事の振り返りまで、食にまつわる課題を話し合っています。その中で長らく課題に挙がっていたのが給食の食べ残しについてでした。

南砂ルームの畑
南砂ルームの畑。子どもたちと一緒に大切に育てている

この問題はグループ全体で取り組むべきと、どろんこ会グループでは「2022年3月から2027年3月の5年間で給食残渣を50%に減らす」という目標を掲げました。

「以前から食べ残しを減らすべく各園で取り組んではいましたが、法人全体でこの課題を取り扱うことになり、皆がより前向きに取り組めるようになったと感じています」と澤本さんは言います。

野菜くずを極力減らすよう切り方を工夫
野菜くずを極力少なくするよう切り方も工夫

「調理スタッフも作業はスピード勝負で、野菜くずがある程度出るのは仕方がないと思っていたところもあります。しかし皮の向き方をどうするか、切り方を変えてみるかなど、自分たちの調理を見つめ直し改善するきっかけになりました。また子どもたちが食べられる量や食べられる物を増やすには、保育の活動内容や食育も関係してきます。雨で戸外活動ができない日は食べ残しが増えることもあります。そこで調理スタッフと保育スタッフが以前よりも連携を深めていく機会にもなりました」と語り、子どもたちと一緒に給食を食べる時には特に言葉かけを工夫していると言います。

テラスでスタッフも一緒に給食をいただく
南砂ルームではテラスに出て皆で食事をします

「信頼関係を築いている先生からの言葉は安心につながります。日ごろ食べられない食材を口に運べた時や、食べてみようと挑戦した時には一緒に喜び、食卓で共に過ごす存在がいることも大事だと思います」。澤本さんも子どもたちと共に食事をすることを大切にしています。

野菜くずをリサイクル 子どもたちとコンポストにも挑戦

そのほか、どろんこ会グループ全体の取り組みとしては、野菜くずを使ったレシピを考案しています。

「例えば、煮物やお味噌汁のだしを取るために使った昆布やカツオをなめたけ合えにしたり。キャベツを使ったサラダを作る日は、キャベツの芯をフードプロセッサーで砕いてカレーを作る際に一緒に煮込んだり。現場の調理スタッフの工夫を共有しあっています」と、いろいろと試していると言います。

コンポストの状態を確認する澤本さん
コンポストの様子を確認する澤本さん

また、澤本さん自身も食を通じた環境への取り組みを実践しています。

「毎年5歳児を中心に、日々自分たちが口にする食材がどのようにして育てられ、生産地から運ばれてきて食事となり、食べ残した物が廃棄されるそのあとまでをスライドで見せながら、食の循環について考える機会を創ってきました。話をしたあとは給食を残すことに対する子どもたちの意識が変わります。今年度は南砂ルームでコンポストにも挑戦しています。こうした取り組みを通じ、子どもたちには給食残渣が出てしまうことを当たり前と思わず、疑問に思ってほしいと思っています。そして私自身も疑問をもちながら仕事をしなければならないと気を引き締めているところです」と語りました。

国際的な環境マネジメントシステムISO14001を取得
国際的な環境マネジメントシステムISO14001を取得

昨年、どろんこ会グループでは国際的な環境マネジメントシステム「ISO14001:2015」を4施設で取得しました。今後は給食残渣を減らす取り組みと同時に、給食残渣や園で飼育しているヤギや鶏のふんを活用したたい肥も生産し、循環型エコサイクルの構築を目指しています。引き続き子どもたちにとってどのような食を通じた環境教育が必要かを考え続けながら、環境に配慮した取り組みに努めてまいります。

関連リンク

保育の質・未来の環境に本気で取り組むどろんこ会 ISO9001とISO14001を取得した理由

どろんこ会グループ4施設、環境マネジメントシステム国際規格「ISO14001」を取得

環境マネジメントシステムとは(環境省HP)

ISO14001について(環境省HP)

関連する記事

最新のどろんこアクション記事

どろんこ会からのお知らせを見る

PAGE TOPtop