桜木中学校の生徒が発達支援つむぎ 池尻ルームで「花育」ボランティア 異年齢・地域交流のきっかけに

2023.11.09

#発達支援

発達支援つむぎ 池尻ルーム

どろんこ会グループでは、小学生、中学生、高校生のボランティア・職業体験を受け入れています。今回は発達支援つむぎ 池尻ルーム(東京都世田谷区)に、世田谷区立桜木中学校の華道部の生徒がボランティアとして来てくれました。

児童発達支援事業所のつむぎでは、子どもたちの直接体験を大事にしており、定期的に体験学習を実施しています。今回は中学生と一緒に生け花を体験することになりました。

池尻ルームの様子
発達支援つむぎ 池尻ルームの様子

花にあまり興味のなかった子どもたちが生け花初体験

「池尻ルームの目の前には緑道があり、花と触れる機会はあるものの、子どもたちは花にあまり興味を示さなかったので、今回の体験もどうなるだろうかと、実は少し不安もありました」と明かすのは、施設長の外山さん。「興味の幅が限られていたり、好きなものを突き詰めるあまりそのほかのことには興味を示しづらいといった子も多いので、生け花に取り組んでくれるかも分かりませんでした」と振り返ります。

池尻ルームの外山施設長
池尻ルームの施設長を務める外山さん

初めての体験でもあり、中学生との交流も少ないため、池尻ルームのスタッフにとっても挑戦となった今回の取り組み。「私たちは体験活動においては何をするかよりもなぜその体験をするのかを大切にしています。子どもたちにどのような力を身に着けてほしいかを明確にすれば、活動はあくまで手段となります。生け花体験では花を使って表現をすること、年上の人とのコミュニケーションを取ることを活動のねらいとしました」と外山さんは話します。

遊びの中で花に触れる体験を

桜木中学校華道部にて部活動支援員制度のもと監督を務める諸我先生は今回のボランティア体験を前に、「自分が得意なことで誰かの役に立つことができるという体験、自分が身に着けた技術で誰かが笑顔になるという経験をしてほしいというねらいがありました」と振り返ります。

とはいえ、中学生にとっても児童発達支援事業所でのボランティア体験は初めてのこと。外山さんが諸我先生に事前にご相談したところ、子どもたちの様子を見に来てくださることになりました。

子どもたちの様子を見た諸我先生は「従来の生け花体験ではなく、遊びの中で植物に触れ、興味をもってもらうところから始めることにしました。花びらを取ったり、葉をちぎったりしながら、それぞれができる範囲で作品をつくることにしました。できるだけ『これはできないだろう』という固定観念はもたないよう、また中学生にももたせないよう配慮しました」と、ボランティア体験にあたりいろいろお考えくださいました。

諸我先生による花育
花選びから入念な準備をしてくださった諸我先生

また、中学生もボランティアに臨む前、どのようなことに気をつけたらよいか、どのような花が扱いやすいかなどを事前に話し合いをしてくれたと言います。

ホンモノに触れ、表現する体験

そして迎えた当日。子どもたちはいつもとは違う雰囲気を感じ取り、緊張している様子を見せつつも「日ごろ戸外活動が多く、机に向かうことは少ないのですが、自ら椅子に座り、話を聞く姿勢を自然にとっていました」と、予想とは違う子どもたちの姿に驚いた外山さん。

諸我先生があえて中学生と子どもたちのペアを作ることで、できるだけ大人を介さず子どもたちが一緒に楽しむ時間になるようにしてくださったおかげで、徐々に打ち解け、日ごろは困っていても助けてほしいと自分から言い出せない子どもも安心して作業を進めることができました。

子どもと真剣に向き合う中学生
一緒に花に真剣に向き合う

諸我先生も「想像以上に双方のコミュニケーションが取れていて驚きました。いつもはおとなしい中学生ですが、しっかりと子どもたちの体験のアシストをしてくれて頼もしかったです」とお話しくださいました。

つむぎの子もとても楽しみました
つむぎの子も中学生も楽しそうです

外山さんは「子どもたちは実際に花に触れ、その柔らかさや丁寧に扱わないとだめだということを感覚的に理解し、日ごろは力の加減が難しい子も上手に持って生けることができていました。ホンモノであることの意義を実感しました。発語のない子も、生け花用の給水スポンジに花が立つという動作が分かったときにとてもうれしそうにして達成感を味わうことができました。言葉以外で表現できるということもよかったと思いました。生け方も真っすぐきれいに生ける子、ダイナミックに広げる子、各々から才能が感じられ、個性が表れていました」と、外山さんもうれしさをにじませながら語りました。こういった花や緑の持つ多様な機能に着目し、花や緑を教育、地域活動等に取り入れる取り組みである「花育」は近年、農林水産省も推進しています。

花の生け方に個性が表れました
花の生け方にも個性が表れました

中学生も「子どもたちがとてもかわいくて、時間とともに自分に慣れてくれてうれしかった」と話していたそうです。部活動では諸我先生から、「自分たちが命を扱っていることをしっかり理解したうえで花を扱うこと」「表現する力をつけること」「感じ取る力をつけること」を学んでいるといいます。その気持ちが子どもたちにも伝わったのではないでしょうか。

中学生にとっても有意義な保育園・児童発達支援での体験

桜木中学校の関根副校長先生からは中学生のボランティア体験の意義について「学校では日ごろから『自分を生かす・伸ばす』取り組みを推進しており、自分が関わったことに対して責任感をもって活動することで、自己有用感や自己肯定感を高められるようにしています。ボランティア活動は、学校では経験・体験できないことに出会うという点でも、子どもの多様性に対応するという点でも有意義なもので、またいつも一緒にいるメンバーとは違う人と関わり、いつもと違う環境に身を置くことで得られる緊張感も子どもたちの成長に必要だと考えています」と説明します。

保育園や児童発達支援事業所での体験については「さまざまな人がいることを知る良い機会になることはもちろん、語彙が少なかったり、うまく自己表現ができなかったりする人とのコミュニケーションに対して思考、工夫する機会になると考えています。また、困っている人をサポートすることで、困ったときには自分もサポートを受けられるということを知るきっかけになること、幼い子どもと関わることで、自分の成長を振り返る良い機会にもなると思います」とお話しくださいました。

最後はすっかり打ち解けました
すっかり打ち解けた雰囲気の子どもたち

どろんこ会グループでは、異年齢の関わり、地域とのつながりを大切にしながら、子どもたちに直接体験の機会を一つでも多く創るようにしています。小学生、中学生、高校生のボランティア体験、保育体験も積極的に受け入れています。ご興味のある方はこちらからお問い合わせください。

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