「感覚統合の考えを生かした保育」の研修を受託 発達支援つむぎ 北千住ルーム施設長が講師として登壇
2024.04.11
2024年2月、自治労神奈川県本部社会福祉評議会保育部会の第29回定期総会で開催された記念講演会に、発達支援つむぎ 北千住ルーム(東京都足立区)の奥秋施設長が講師として登壇。「感覚統合の考えを生かした保育」をテーマに研修を行いました。
感覚統合とは
感覚には、五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)だけではなく、運動をつかさどる「固有受容感覚」や体のバランスをつかさどる「前庭感覚」といった身体を制御する感覚があります。「固有受容感覚」では筋肉や関節の伸び縮みなどの動きを感じ、「前庭感覚」では身体のバランスや動いた時のスピード感などを感じます。
私たちの脳は、それぞれの感覚から絶えず受け取る様々な情報を適切に処理(交通整理)し、バラバラの感覚を一つに統合しています。感覚を統合していくことで、私たちは適切な行動や反応を示すことができるようになります。
保育現場でも必要な感覚統合の視点
しかし、この感覚統合が何らかの理由でうまく働かない子どもたちの場合、
- 感覚過敏・・・砂や粘土、絵の具の感触が苦手。食べ物の好き嫌いが多い。
- 姿勢保持が難しい・・・鉄棒や走ることが苦手。肘をついてご飯を食べる。
- 運動がぎこちない・・・ボタンの留め外しが苦手。机や棚、人にぶつかることが多い。
- 感覚統合の基礎を作業療法士から学びたい。
- 日々の保育、遊びの中で取り入れられることを教えてほしい。
- 若手保育士も理解できるような内容にしてほしい。
- 保育園の中だけではなく、家庭でもできる遊びを教えていただき実践してみようと思った。
- 感覚統合の講演は初めてでしたが、とても分かりやすく勉強になった。
- 保育士も一緒に楽しみながら感覚を育てていけるよう実践していきたい。。
など、日常生活で様々な困りごとが見られます。
今回、感覚統合は保育部会でも話題に上がることが増え、保育園職員の関心も高いテーマとのことで、多数の作業療法士が在籍するどろんこ会グループに講師派遣のご相談をいただきました。奥秋施設長は認可保育園の北千住どろんこ保育園に併設する発達支援つむぎ 北千住ルームの作業療法士として、子どもの発達の理解や保育実践もあり、これまでも保育現場における感覚統合の視点についての研修を多数実施してきました。
などのご要望にお応えできるよう、「感覚統合の視点から保育を考える ~見方が変われば世界が変わる~」と題した研修をご提案。導入では「感覚の基礎知識」と「感覚統合視点での子どものとらえ方」を丁寧に説明し、様々な感覚が食事や着替えなど日常生活の動作にどう関わってくるのかを解説しました。その後は、感覚を統合していく保育活動や遊びについて泥遊びや畑仕事、雑巾がけなど、どろんこの保育を例に挙げながら紹介。保育現場での困りごとの解決のヒントにもなるよう、転びやすい子どもや苦手な感触があって遊べない子どもの感覚統合の視点を生かした支援方法などもお伝えしました。
最後に奥秋施設長は、「感覚統合の考えを生かした保育」について大切なことを「子どもの視点に立ち、共感的理解を持つこと」「日常生活と感覚はつながっている。困難な背景に寄り添って考えること」「日々の活動の積み重ねが相乗効果を生み出す」とまとめ、研修を終了しました。
参加者された方々からは、などの感想をいただきました。
今後もどろんこ会グループは、認可保育園と児童発達支援事業所の併設施設で積み重ねた実践と知見を生かし、感覚の視点から子ども一人ひとりを理解し、多様性を認め合う「保育における感覚統合」の考え方を広めてゆきたいと思います。
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