医療的ケア児の保護者様インタビュー メリー★ポピンズ 海老名ルームの事例ー後編

2024.06.27

#保育#発達支援

メリー★ポピンズ 海老名ルーム 発達支援つむぎ 海老名ルーム

2023年4月に開園したメリー★ポピンズ 海老名ルーム(神奈川県海老名市)での医療的ケア児の保育についてレポートした前編に続き、後編では双子のお子さまを預けてくださった保護者の方へのインタビューをお届けいたします。

この1年で大きく成長した双子
この1年で大きな成長を遂げた双子と共に

迫る育休からの復帰 決まらない保育園

—メリー★ポピンズ 海老名ルームに入園が決まるまでの道のりをお聞かせください。

もともとは2021年6月に出産予定で、育児休暇を1年取得して仕事に復帰するつもりでした。ところがまさかの3月生まれとなり、双子のうち1人は1年間入院することになりましたが、職場の理解もあり育児休暇を2年取得できました。とはいえ保活を始めなければと、上の子が通っている同じ保育園に入園できないかを相談したところ、園舎が2階建てのため、酸素ボンベを背負った状態での階段の登り降りに職員がマンツーマンでつく保障ができないと。海老名市に連絡したところ、看護師がいる園でないと難しいとのことで3カ所紹介いただいたのですが、職場から遠かったり、医ケア児を診るための看護師ではないと言われたりで、厳しい状況でした。

困っていたところ友人から海老名ルームが開園することを聞いたのです。看護師がいるかどうかも分からなかったのですが、発達支援に力を入れていると聞き、もしかしたら受け入れてくれるかもしれないと思い、すぐに電話をしました。

お迎えに大喜びで駆け寄る
お母さまのお迎えに大喜びで駆け寄ってきた子どもたち

—どろんこ会グループの開園準備室にお電話をいただいたのですね。

それまでにも幾つかの園に電話をかけていたのですが、「見学には来てもよいが、受け入れは難しい」「園長に確認しなければ分からない」など、なかなか話が進まず電話口だけで疲弊していました。ところが、どろんこ会グループでは電話で対応くださった方が「酸素の取り扱い経験や、重度障害をおもちのお子さまの保育経験もあるので、受け入れは大丈夫ですよ」と言ってくださって。これまで「息子は何にも悪くないのに、こんなにがんばっているのに、どうして受け入れてくれないのだろう」と辛い思いをしてきたので、この電話で「受け入れてくれる園があるのだ」と、気持ちがとても楽になりました。

—そして2022年12月の面談に至ったのですね。

当時はいっぱいいっぱいだったのですが、松澤園長もどろんこ会グループ本部の方も話をしっかり聞いてくださったので不安を感じなかったです。また、酸素ボンベの受け入れについてもしっかりと受け止めてくださったので、ありのままを話そうと思いました。

一人ひとりがその子らしく生きていけるような支援を

—無事に入園が決まった後、何かご不安なことはありましたか?

酸素ボンベの取り扱いについては、スタッフの方が負担を感じたり、ネガティブな思いをもたれたりするのではないかと思っていましたが、海老名ルームには誰一人そのような空気の方がいませんでした。業者の方のレクチャーも受けてくださり、どのように使うのかを真剣に聞き、ボンベを持った感想も率直に伝えてくださいました。

—その後の海老名ルームの保育活動についてはどのようにご覧になりましたか?

私は当初、保育園に入園できたとしても、ほかの子と一緒に過ごすのは難しいだろう、個別対応になるのだろうと想像していました。入れただけでも感謝だったので、うちの子に合わせることで、ほかの子の成長を阻害したり、危険が及んだりしてはいけないと思っていました。ところが生活のほとんどを共に過ごすことができました。室内でのはいはいの時期には酸素ボンベに滑車をつけることにも対応してくださり、室内でそういった器具を使うことにリスクもあったと思うのですが、子どもの発達を何より優先してくれました。

友達と共に遊ぶ
友達と一緒に遊ぶHさん

私は多くの保育園を知っているわけではないのですが、午後も戸外活動を行う園はとても少ないのではないかと思います。海老名ルームでは本当にたくさん歩き、うちの子も散歩や戸外活動にも参加でき、小児科の先生が驚くほど体力がつきました。

身体面の発達はもちろんですが、精神面の成長も感じています。生活発表会の時、2歳児は保護者がいると甘えたり泣いてしまったりといった姿が多く見られましたが、うちの子はしっかり座っていてメンタルが強くなったなと(笑)。その姿を見て、スタートは遅れたけれど、乗り越えてきたんだと感じました。海老名ルームに通っていれば、間違いなくさまざまな刺激を受けることができるからだと思います。

外で元気に遊ぶHさん
戸外活動を積極的に行っている海老名ルーム

—周囲の子どもたちの反応などはいかがでしたか?

子どもたちからも、そして保護者の皆さまからも、ほかとは違う、差別のような視線は一切感じたことがありません。特に年上の子たちがとてもかわいがってくれています。1人の人間として見てくれている、友達として受け入れてくれていると感じています。

自然物にもたくさん触れる機会がある
自然物に触れる体験も多くあります

—あらためて今、保育園にはどのような役割を果たしてほしいと思いますか?

海老名ルームには、食育や戸外活動など私ではなかなかできないことを子どもに経験させてくれるので、感謝しかありません。家庭での過ごし方は、リスクを考えて子どもの運動能力の限界を勝手に決めてしまっていたように思います。保育園では、海老名ルームのように安全を守りながらも子どもの可能性を最大限に引き出してもらえたらと思います。さまざまな子どもがいる中で、一人ひとりがその子らしく生きていけるような支援をしていただけることを願っています。

また、私の場合双子なので、どうしても上の子どもと向き合う時間も限られがちなのですが、そういった事情もくみ取ってくださり、海老名ルームにはさまざまなことに柔軟に対応していただいています。なんでも率直に言えるような関係性を築ける保育園であってほしいと思います。

スタッフと笑顔で会話を交わす
降園の際もにこにこ笑顔でスタッフと会話を交わしました

施設情報

メリー★ポピンズ 海老名ルーム

発達支援つむぎ 海老名ルーム

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