発達支援つむぎ 新羽「食育活動を通して、『食べたい』という気持ちを育む」

2022.09.30

#発達支援

発達支援つむぎ 新羽ルームでは、「お腹がすいたから食べたい」という気持ちを育てることや、食べることを楽しいと思ってもらえるよう、様々な「食育活動」を行っています。

「食育活動」の内容としては、畑での野菜栽培、育てた野菜での調理活動、材料を買いに行く買い物体験などを行っています。また、「お腹がすいた」という感覚を持つために午前中にたくさん体を動かし生活リズムを安定させていくことや、「お友だちと一緒に食べたい」という気持ちを育てることなども目的としています。

実際に、食育活動を行って子どもたちにどのような反応や変化が見られるのか、あるグループのAくん、Bくんに約二カ月間密着してみました。

7月6日 買い物、プランター栽培

プランター栽培でトウモロコシを育てるため、まずは近くの園芸店へ買い物に行きました。土を自分たちで選び、レジまで運ぶ、お金を支払う、という一連の流れを行いました。子どもたちは、台車を押すのがうまくいかず棚に当たってしまったり、どこに土が置いてあるのかわからず店内を見渡したりしていました。友だちと協力して土を選んで運び、「ピッしてください」「ありがとうございます」など、店員さんとやり取りができました。

土を選ぶ

つむぎに帰ってきて、そのままプランター栽培に取り組みました。Aくんは土を触れずにいましたが、シャベルを渡すと、土を混ぜたり種を撒いたりと、参加することができました。Bくんは、畑仕事にあまり興味がありませんでしたが、大人が一つずつやり方を示すことで、やり方を理解し取り組み始めました。最後に水をあげて、トウモロコシが育つのを待ちます。

プランターに土を入れる作業
7月22日 畑観察

つむぎに登園した際に、植えたトウモロコシへの水やりに誘いますが、Aくん、Bくん共に中々興味を示すことがありませんでした。そこで、つむぎ新羽ルームと併設している新羽どろんこ保育園と一緒に、畑に行く機会を設けました。Aくんは、畑で育っている野菜を見て「トマトだー」と言い、園児が水やりをする様子を見て、「ここ?」と一緒に水をあげていました。

Bくんは、畑にいる虫を見て「こわい」と言い、近づくことができませんでした。落ちていたミカンを拾って渡すと、汗を流しながら木の棒でミカンをつつき、「よいしょ、よいしょ」と中身を出そうと集中して取り組んでいました。この日を境に、「トウモロコシに水やる」と、自分から水やりをする姿が見られるようになりました。
水やり
8月12日 調理体験

まだ、つむぎで育てたトウモロコシは収穫できるほど育っていませんが、新羽どろんこ保育園のトウモロコシが育ったため、畑へ収穫に行きました。子どもたちは、「トウモロコシ好き」と言いながら、上のもじゃもじゃ部分を触っていました。

つむぎに帰ってきて、そのまま収穫したトウモロコシの下ごしらえをしました。Aくんは、最初は力がうまく入らずトウモロコシの葉が剝けずに諦めてしまいました。しばらくすると、園児さんが力を入れて葉を剝いている様子を真似して取り組み始めることができました。下ごしらえが終わると、つむぎで育てているトウモロコシのプランターを見に行き、「いっしょ」と言って水をあげていました。Bくんは、小さいトウモロコシを選び、自分なりに少しずつ剝いていました。中身が出た瞬間、とても嬉しそうな笑顔で「ママに見せる」と喜んでいました。

この日の給食に、下ごしらえしたトウモロコシが出ました。Aくんは、普段は白米のみ食べるお子さんでしたが、園児さんがトウモロコシを食べている様子を見て気づき、「トウモロコシ」と言ってもらっていました。眺めるのみで食べることはありませんでしたが、今日剥いた物、という認識ができていました。Bくんは、トウモロコシをおかわりして食べていました。

とうもろこしの皮むき
8月24日 給食

8月12日から、給食での変化が見られるようになりました。Aくんは、白米のみ食べていましたが、段々と食べられる物が増えてきました。汁物を自分でよそって食べ、8月24日の遠足メニューでは唐揚げをお替りして食べていました。その後も、唐揚げメニューの日は「からあげたべる」と、自分から食べています。

Bくんは、以前は一人で黙々と早く食べており、満腹感を感じにくい傾向がありましたが、「Aくんと一緒に食べたい」という気持ちが芽生え始めました。給食の時間になると、Aくんを呼びに行き、食べる席を一緒に決め、食べている間に「Aくん、おいしいね」とお話ししながら食べることができるようになりました。友だちと一緒に食べているからか、食事ペースもゆっくり食べるようになり、よく噛んで食べるようになりました。満腹感も感じるようで、おかわりをしなくても満足するようになりました。

給食の様子

グループに密着して見えてきたことは、食育活動を通して、自分たちで育てた経験があると、苦手なものでも自然と口に運び、食べてみようという意欲が出ていたことです。実際に買い物へ行き、調理活動も行うことで、より食べ物への知識がついてきます。また、友だちと一緒に畑仕事に取り組むことで、友だちと食べる楽しさを覚え、食事がより楽しい経験になっています。ぜひ、普段の生活の中で買い物へ行ったり、一緒にご飯の準備を行ったりしてみていただけたらと思います。

文:発達支援つむぎ 新羽ルーム 職員

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