発達支援つむぎ 横浜西口「好きなモノから広がる世界~学びの原点と多様性~」

唐突ですが、大人からすると、「やって欲しくない遊び」ってありますよね。でも実は、子どもだった頃に本当は「やってみたかった遊び」はありませんでしたか?

例えば、雨上がりの水たまり。足で踏むと沈殿している土が水に溶けて濁っていく変化が楽しい。そう思ってアスファルトのくぼみにできた水たまりにも足を延ばすけど、こちらは濁らない。なんでだろうという試行錯誤を繰り返すうちに足は泥だらけになっていき、大人からすると「あらら」と困ってしまうところです。

発達支援つむぎ 横浜西口ルームでは、子どもの主体性を育むことを大切にしています。なぜならば、主体性こそ、自分の人生を(周囲との相互作用の中で)自分らしく豊かに生きていくための「にんげん力」であると考えているからです。主体性を育むためには、大人からすると困ってしまうことであったとしても、「これが好き。これがやりたい」から遊び、学ぶことが必要です。

今回はAくんの「エレベーター」のエピソードを通して、その大切さをお伝えします。

エレベーターでのエピソード

Aくんがエレベーターのスイッチを押したことがきっかけだった。Aくんは点灯したスイッチを見ながら、ジャンプしてうれしそうにしていた。そのうれしさに共感したスタッフが階数とお店の名前を言い始めると、Aくんも同じようにお店の名前を言い始めた。(言葉による伝えあい)

エレベーターを待つ子ども

その後、スタッフがエレベーターを降りていく人に「お先にどうぞ」をしている姿を見ていたAくん。スタッフとうれしい気持ちを分かり合えたことから、スタッフが何をしているかに興味を持ったようだった。

「ぼくも同じようにやってみよう」と思ったのか、Aくんも「お先にどうぞ」とする。エレベーターに乗り合わせた人が、「きみはとってもエレベーターが好きなんだね」や「ありがとう」と言ってくれた。

そしてAくんは、いつの間にか、人が降りるときに「開く」ボタンを押すようになった。Aくんが乗り合わせた方のメッセージに応えているように見えた。

エレベーターのボタンを押す子ども

でも、時には「エレベーターは遊ぶものではありません」と言われることも。「すみません」と何度も謝罪しているスタッフの様子を、Aくんはじっと見聞きしていた。その後、Aくんは、エレベーターに乗りたいのをちょっと我慢するようになった。Aくんは「もしかすると、エレベーターで遊ぶのはぼくの好きなことだけど、嫌な気持ちになる人もいるのかもしれない」と気づいたようだった。(道徳性・規範意識の芽生え)

外を眺める子ども

大人の価値観からすると「なぜ」「そこで」「それを」というような遊びを子どもたちはすることがあります。「それをすると、周りの人はどんな気持ちになる?」という道理も伝える一方で、エピソードのように、つむぎ横浜西口ルームのスタッフは「子どもたちはどうしてやっているのだろう?」という子どもの視点に立って考えることを大切にしています。

これからも「好きなこと」「興味のあること」から、より深い学びを得て、主体性が育まれるような支援を続けていきたいと思います。

※( )内は、厚生労働省の「保育所保育指針」に示されている「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」を表しています。

文:発達支援つむぎ 横浜西口ルーム 職員

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