保健だより 10月号

2024年10月1日発行

日中は暖かいと思っていても朝夕は急に冷え込んできたり、気温の差が激しく何を着たらよいか戸惑ってしまう季節です。気候の変化に伴い体調を崩すことが多くなるのもこの時期ですが寒いからとすぐに着込むのではなく、衣服を調節しながら丈夫な身体づくりを心がけましょう。

子どもの靴の選び方と足の健康

日本保育保健協議会『保育のなかの事故-子どもの命を守る保健活動』より一部抜粋

秋晴れの空の下、運動会や外遊びが盛んになる季節がやってきました。Doronko では、毎朝9 時に散歩に出発し、午前中は目一杯太陽の光を浴びて体を動かすことを大切にしています。散歩の距離は4月から徐々に延ばし、11~12 月を目安に、2 歳児は往復4 ㎞、4~5 歳児は往復10 ㎞を歩けるようになることを目指します。そして、このように子どもの足元を支える「靴」は成長期の足の健康にとって重要であり、足の発達を助けます。反対に、足に合っていない靴を選んでしまうと、足はもちろん、膝や腰の病気につながったり、内臓の働きに影響を与えたりすることもあります。

靴選びのポイント① 靴の特徴

<よちよち歩きの時期(0~1歳)>

  • 柔らかく足になじむ素材のもの
  • 足の後ろ半分は骨の発育を守るため固く補強されているもの
  • シューズを足に固定するベルトのついたもの
  • つまずきを防ぐ巻上底のもの
  • かかとから2/3 のところで柔らかく曲がるもの

<とことこ歩きの時期(1歳~2歳)>

  • 履きやすく、甲部を適度に押さえるベルトがあるもの
  • 足の後ろ半分は骨の発育を守るため固く補強されているもの
  • 通気性や吸湿性に優れた素材のもの
  • 歩行のショックを和らげ滑りを防ぐゴム底になっているもの
  • かかとから2/3のところで柔らかく曲がるもの

靴選びのポイント② 靴のサイズ

3歳半までは、半年で約10mm、以降は5mm ほど大きくなります。15.0 ㎝の子どもに16.0 ㎝の靴を履かせることを大人に置き換えると、23.0 ㎝の人が24.61 ㎝の靴、つまり3~4サイズも大きな靴を履くことになります。「すぐに成長するから」と大きめの靴を履かせていると、脱げないように足の指を踏ん張ってしまい地面を蹴って歩くことができず、扁平足や外反母趾になる危険性もありますので気を付けましょう。

足の健康を保つための大切な習慣(=裸足保育)

足の健康を保つためには裸足で過ごす時間が重要です。裸足で歩くことで足裏の筋肉やアーチがしっかり鍛えられ、運動感覚が養われます。Doronko では、足指で地面を捉える力を育て、「歩く・走る・跳ぶ・とび降りる・よじ登る・横や後ろに動く」ができるようになるために、室内・園庭では裸足・草履で過ごしています。「裸足保育」は健康な体を育てるために非常に重要な取組です。

薄着の習慣は秋がチャンス!

秋になると日中の日差しが柔らかくなり、朝晩の気温が低下してきます。季節の移り変わりをうまく利用して、薄着の習慣を つけていくのが健康づくりのコツです。 私たちの園では、「薄着・裸足保育」を健康な体づくり・子どもの遊びへの意欲醸成のための要であると考えています。遊ぶ 時は散歩時を除いて体づくり意欲づくりのために裸足・薄着に取り組んでいます。

◎薄着にするとどうして健康な体がつくられる?

もともと人間も動物の一種なので、「暑さ」「寒さ」に対する防御反応を持っています。薄着にすることで、皮膚は「暑い」「寒 い」などの適度な刺激を受けることになり、それによって本来持っている防御反応がより高まっていくのです。 皮膚には、身体の内部の保護と共に、外界の温度を即座に脳(間脳)に知らせ、体内の温度をいつも一定に保とうとする働 きがあります。暑ければ、皮膚の血管を広げて血液の流れを多くし、体温を発散させようとします。それでも不十分なら、汗 をかいて体内の余分な熱を発散させ、体温を下げようとします。寒い時は逆に、皮膚の血管を収縮させて熱を逃がさないよう にします。このように、皮膚が敏感に「寒い」とか「暑い」という「刺激」を受けることで、血管の収縮、拡張といった働き が繰り返され、徐々にその働きが素早く行なわれるようになっていきます。こうして自律神経がバランス良く発達していくの です。自律神経のバランスが良くなると内分泌が盛んになり、免疫力も強くなっていきます。免疫力が強くなることで「病気 になりにくい健康なからだ」になっていくというわけです。では反対に、普段から厚着に慣れているとどうなるかといえば、 外の気温の変化を捉える皮膚の感覚器官が鈍くなり、自律神経の働きも鈍り、免疫力も強くなりません。また、厚着で暖かす ぎると、身体の放熱反射(体熱を放射する反射)が強くなり、逆に冷え込んでしまいます。冷たい風にあたったりすると、厚 い衣類を着ている人はすぐに体温が奪われやすくなってしまうのです。その結果、風邪もひきやすくなってしまいます。普段 から薄着を心がけていれば、しょっちゅう訓練しているようなものなので、体温は奪われにくくなります。

◎では、実際にどうすれば?

「子どもは大人よりも体温が高い」ということと、「よく動く」ということを頭に入れておき、も う1枚着せようかどうか迷った時は、その日の天候、気温、湿度の状況、そして子どもの健康状 態、生活や遊びの状況を観察しながら、子どもが元気に動き回っているようなら、それ以上着せ る必要はありません。

<出典>日本保育園保健協議会編 『保育保健の基礎知識』日本小児医事出版社

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