保健だより 3月号

2025年3月1日発行

3月は、冬の寒さから春の暖かさへと、移り変わりを感じ取れる季節です。外遊びでは自然に触れながら、春の日だまりの暖かさや周りの木々などにも目を向け、子ども達が自然の不思議さに気づけるように努めたいと思います。春を探しに散歩や園外保育に出かけ、今年度最後の月を一日一日を大切に過ごしてまいります。

就学前に『早寝、早起き、朝ごはんの習慣』『ジブンデすることの確認』を

就学前までには規則正しい生活を身につけておきたいものですが、家庭によっては仕事先から帰るのが遅く、子どもが待っているなど、難しい場合があります。それでも夜更かし、朝寝坊、朝食ぬきがいつものようになってしまうとボーッとしたり元気がなくなったりと子どももつらくなります。

★朝起きたらやる順番を決めて練習しましょう

起きる → トイレに行く → 顔を洗う → 着替える → ご飯を食べる → 歯磨きする

はじめは1 人で出来ないので家族が一緒に声かけや見本を示します。

また、小学校入学に向けて

  • ハンカチ、ティシュはポケットにいれておく
  • 自ら手洗い、うがいを行う
  • 和式トイレにも慣れておく
  • 傘をさしたり、傘をたたんでしまう
  • 排泄の意志を自分で手を挙げて伝えられるように練習しておく

など、学校生活の中で「ジブンデすること」を確認しておきしましょう。

スマホの使い過ぎが脳に与える影響とは?

[引用元] スマホはどこまで脳を壊すか

川島隆太 (監修) 榊浩平 (著) 2023 朝日新聞出版

スマホやタブレットPC の利便性は周知のことであり、巧みに使いこなせるお子さんも少なくないことでしょう。ただし便利なツールがうまく使いこなすだけではなく、使い過ぎてしまうことで望ましくない影響も与えていることがわかっています。
東北大学加齢医学研究所の川島隆太教授の研究において、平均11 歳の子ども223 人を対象に脳を3年間モニタリング行った結果、スマホを含むネット漬けの子ほど前頭前野を中心に脳が発達していないことが証明されました。前頭前野は、記憶や感情の制御、高度の抑制などつかさどる場所であり、3 歳までに3倍の大きさに成長すると言われています。
[前頭前野の主な働き]

  1. 考える、発明する
  2. 人を思いやる
  3. 我慢する
  4. 挑戦する
  5. 集中する

前頭前野が発達しないことで、自分で考え、発想をしたり、人の気持ちを理解したり、場の空気を読むなどコミュニケーション能力が育まれにくくなったりしてしまう可能性が生じるとわかったのです。スマホは人間が楽にするためのものであり、便利なツールであるため、脳を必要以上に使わなくなり、その結果がこのような結果につながることは必然とも言えます。スマホを使用しているとき脳があまり活発に動いていないという研究結果の一つをご紹介します。少し難しい言葉の意味を調べる際、紙の国語辞典を用いて調べたときと、スマホを使用しWikipedia を閲覧して調べたときに前頭前野の活動を比較した研究です。同じ時間内に紙の国語辞典で使用した際は3 つ、一方スマホを用いると5 つもの言葉の意味を調べることができました。スマホの利便性は明らかですが、脳の前頭前野の働きを比較すると、紙の国語辞典を使用しているとき、前頭前野は活発に働いているのに、スマホを使用した際は全くと言っていいほど使用していないという驚くべき結果が示されました。つまり調べることは出来ていても、簡単に再現性のある調べ方のため、調べながら脳に記憶し自分のモノにするということは出
来ていないのです。

ただし、暗い話ばかりではありません。脳は、悪い習慣を断ち切るだけで、機能が回復することもわかっています。つまり、スマホと上手に付き合えるようになれば、再び発達していくのです。川島教授の別の研究では、実際に、2015 年度から2 年間にわたって、同じ子どもの小学6 年時と中学1 年時の成績とスマホの使用時間を調べた追跡調査では、スマホの使用時間を1時間未満に抑えることができた子どもは成績も伸びる結果も出ているのです。

当グループでは

毎日の戸外活動や自然体験を大切にし、自然の中で見たもの触れたものに神秘さや不思議さを感じ、驚いたり感じたりする機会を大切にし、共に生活する友達同士で表現し合ったり感動を共感したりします。そして、年齢が違う子同士、障害の有無関係なく、共に暮らし頼り合いぶつかり合い手を差しのべ合い、どの子も、やってみたいこと・思い通りにならないこと、全て実際に経験します。このような経験が脳の機能を活発化させます。

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