にんげん力の向上に自然体験は効果的――自然体験型保育の研究報告
2016.10.13
社会福祉法人どろんこ会は、静岡大学教育学部 井出智博 准教授と共同で「保育所における自然体験を中心に据えた保育の実態と効果について」の研究を実施いたしました。研究の結果、幼少期の自然体験活動の有無と大人になってからのレジリエンス(精神的回復力・抵抗力・復元力・耐久力といった“にんげん力”)の様相に差異が認められ、自然体験を推奨する園に通っていたものの方が「新しいことにチャレンジするのが好きだ」「将来の見通しは明るいと思う」などの新奇性追求・肯定的な未来志向が高いことが示されました。
静岡大学教育学部 井出智博 准教授のコメント
「子育て中の保護者の方、保育や教育など子どもにかかわる仕事をされている方など、子どもに関わる多くのおとなが、子ども時代の自然体験活動が子どもの育ちに肯定的な影響を与えていると体験的には感じていると思います。もちろん、自然体験活動がその後の子どもの育ちにどのような影響を与えるかについての研究はこれまでにも行われてきましたし、その中でもそうした活動の効果、影響について検討されてきました。そのような中でこの研究の着目すべき点はそれぞれの保育所がどのようなことを目的として自然体験活動を行っているかという点と、自然体験活動の効果を関連付けて実証している点にあると思います」
「医療や教育など様々な領域でエビデンスに基づいた実践(Evidence Based Practice:EBP)の必要性が指摘され、保育所には説明責任(Accountability)が求められるようになってきている中で、自らの実践がどのような効果を持つものなのかということを体験的にだけではなく、データを用いて実証的に示すことができることの重要性はますます大きくなってきています。私自身もこの研究にかかわらせて頂きましたが、多くの保育現場で“想い”や“理念”だけではなく、こうした実証的な知に基づく実践が重ねられることを期待しています」
井出智博 准教授のプロフィール
- 静岡大学教育学部准教授
- 臨床心理士
詳細は以下HPよりご確認ください。